毎年秋は、公演ラッシュの季節。今年もスペインから多くのアーティストが来日しました。ギタリスト、カニサレス のコンサートツアー、スペイン国立バレエ団、フラメンコ界の鬼才ダンサー、イスラエル・ガルバンの公演などの他にも、日本人の公演へのゲスト出演やレッスンのための来日もありました。
本場スペインでも、近年の経済危機で公演が減っていた状態から少し持ち直した感のあるフラメンコ界。マドリードの老舗タブラオ「コラル・デ・ラ・モレリア(Corral de la Moreria)」がミシュランの星を獲得したり、往年の人気グループ、KETAMA(ケタマ)の再結成や大御所となったホセ・メルセー(Jose Merce)とトマティート(Tomatito)が組んだアルバムが発表されたり、10月からスペイン国営放送で新しいフラメンコのラジオ番組「ティエンポ・フラメンコ」もスタートしたりと賑やかなニュースが続きました。
来年2月22日から3月9日には恒例のヘレス・デ・ラ・フロンテーラでのフェスティバルが開催されます。今年で23回目となる今回のプログラムでは、地元ヘレスのアーティストの公演の数が増えているのが特徴的です。また、若手と言われていたアーティストたちが中堅となり、自らの名前を看板にした公演も多くプログラムに登場しています。
ヘレス勢のバイレ公演では、フェスティバル初日はバイラオールのホアキン・グリロ(Joaquin Grilo)を皮切りに、メルセデス・ルイス(Mercedez Ruiz)、マリア・デル・マル・モレノ(Maria del Mar Moreno)ら、バイレ公演29公演のうち、約3分の1はヘレス、およびヘレスのあるカディス県のアーティストが主役となります。カンテやギターの公演を入れると、全39公演のうち17公演がカディス県出身のアーティストの公演です。同じスペインの中でも、本来フラメンコは「出身地」によって色が違うものでした。生活や労働の中で生まれてきた音楽で、楽譜ではなく目や耳で伝えられてきたものなので、昔はその地域色が大きく現れていたからです。(写真右上:ホアキン・グリロ 2012年の公演より)
現代では土地の行き来はもちろん、どこにいても様々なアーティストの歌が聴けますので、出身地にかかわらず幅広くフラメンコを学ぶことはできます。それによって、フラメンコがより深まっていくことはよろこばしいことですが。一方で、その土地で生まれ、守られてきた個性も失って欲しくないという思いもあることでしょう。今回のフェスティバルでは、ヘレスの歌、ギター、そしてバイレが楽しめることを期待しています。
また今年の目玉としては、"現代のバイレのスター"ということで、国家舞踊賞を受賞したアーティストによる公演が組まれています。エバ・ジェルバブエナ(Eva Yerbabuena)、マリア・パヘス(Maria Pages)、ルーベン・オルモ(Ruben Olmo)、イスラエル・ガルバン(Israel Galvan)がそれぞれにメイン会場となるビジャマルタ劇場で公演します。新世代の演出家による作品としては、ラファエル・エステべ(Rafael Esteve)とナニ・パニョス(Nani Panos)が率いるアンダルシア舞踊団公演、そして、個人ではマルコ・フローレス(Marco Flores)、アナ・モラーレス(Ana Morales)、レオノール・レアル(Leonor Leal)、パトリシア・ゲレーロ(Patricia Guerrero)らが注目されます。(写真左上:アンダルシア舞踊団:2018年の公演より)
ギターでは、ハビエル・パティーノ(Javier Patino)、ホセ・ケベド(Jose Quevedo)、ぺぺ・デル・モラオ(Pepe del Moras)のヘレス勢が、カンテでは、女性歌手によるシリーズでは、アルヘンティーナ(Argentina)、レラ・ソト(Lela Soto)、フェリパ・デル・モレノ(Felipa del Moreno)が、シェリー酒ティオ・ぺぺで有名な「ゴンザレス・ビアス社」の敷地内の会場でコンサートをします。アコースティックなカンテが聴ける会場、パラシオ・ビジャビセンシオのコンサートでは、新宿のタブラオ、ガルロチにラ・ルピのグループのメンバーとして共に来日していた、アルフレド・テハード(Alfredo Tejado)とマヌエル・タニェ(Manuel Tane)、そしてマリア・パヘス舞踊団で5年歌っていたフアン・デ・マイレナ(Juan de Mairena)が歌います。
また、ふらりと旅行でヘレスを訪れる人も参加できる、1日だけのクラスやブレリアの体験、昼間のコンサートなども開催され、フラメンコを幅広い層に知ってもらうチャンスにもなることを目指しています。
公式プログラムはこちら。
チケットの販売は既に始まっており、。購入は例年通り、下記の3通りの方法があります。
(1)ビジャマルタ劇場チケット売り場 公演日の火曜?土曜 10:30-14:00, 17:00-公演開始まで。土曜、月曜、休日は17時から公演開始時間まで。公演のない日は火曜から土曜の10:30-14:00のみ。
(2)電話:チケットビューローのTICKENTRADAS(902 750 754)へ。クレジットカードでの購入となり別途手数料が課金されます。受取りは劇場窓口にて。
(3)インターネット:TICKENTRADAS (www.tickentradas.com)クレジットカードでの購入となり別途手数料が課金されます。受取りは劇場窓口にて。
また、ビジャマルタ劇場への直接申し込みで(方法は窓口、電話、ファックス、電子メール)、20%割引になる購入方法もあります。(ABONO TEATRO VILLAMARTA)
決められたグループから最低2枚ずつ、合計8枚以上の購入が条件となります。詳しくはフェスティバルHPをご覧ください。
ビジャマルタのインフォメーション窓口: 956 14 96 86 Fax: 956 14 90 60
メール: taquilla@teatrovillamarta.es
チケットのインターネット販売はこちら。
来年もまた、現地からのレポートをお届けする予定です。
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