1970年初頭一人の少年が東京特等少年院へと収監された。
彼の友人たち、 一人は片目の屈強な男性、美しい高貴な女性、あどけない子供たちが慰問へとやってくる。
アニメ「あしたのジョー」のワンシーンである。
片目の男は丹下団平、高貴な女性はのりちゃん、そしてジョーを慕う子供たちだ。
演劇を披露しようとしている。おそらく「ノートルダムのセムシ男」だっったと思う。
演劇の最中、ギターが軽快な曲を弾きだす。
すると曲に合わせて、皆がにわかにざわつく。
タンバリンを叩き踊りだす者、「ア、ソーレ!ソーレ!」と歓喜を叫ぶ者......。
この曲覚えがある。間違いなくフラメンコだ。しかし思い出せない。
そのまま30数年の時が流れた。
ある日そのことを思い出し、レンタルショップでそのストーリーのDVDを見つけた。
そして、新宿のあるギターショップへと持って行った。
当時、私はそこである先生のギターレッスンを受けていたので、
そのDVDを流してもらい、先生やその場にいた踊り手たちに意見を求めた。
その曲がフラメンコの何という曲なのかを。
途端、その場にいた誰もが私を嘲笑った。
「こんなのはフラメンコじゃない!」
「あんたフラメンコ知ってるの?」
「タンバリン使ってるよ」
「アニメでしょ」など。
しかし、先生が一言。
「マラゲーニャ」
そうだ、マラゲーニャだ!
パコのソロの曲で似たフレーズがあったのでそれを私は覚えていたのだ。マラゲーニャ!
みんな何も言えなかった。
フラメンコを知らないのは自分たちだとなったからだ。
ボケ~! 70年代のアニメやドラマのBGMはフラメンコよく使ってたんじゃ!
自分が教わったヌメロ丸覚えしたからて、フランメンコわかった気になるの100年早いわい!
毎度ISSEYだす。梅雨の季節でんな。雨が降ると憂鬱になりますわ。
こんな日は稲垣順一のドラマティック・レイン聞きながら、人生の反省してますわ。
わし、解らん事あったらどうやったら解るか自分なりに色々考えますんや。
特にブレリアのファルセータとか、
シンコペ入ってたりタイで結んでるようなら何拍目でカウント幾つとか。
ほんで楽譜書くんすわ。
ところがフラメンコでは基本楽譜使わないんで、先生にはよく嫌がられました。
楽譜にこだわるわけやおまへんけど、
解る手段として使うんやったらよろしいやん。
人それぞれ理解の仕方も違いますえ。
事実、わしパセオから出てた加部洋さん著パコの譜面と
小森晧平さん著「情熱のフラメンコ」の2冊は、ホンマわしのバイブルでっせ。
この2冊と出会わんかったらフラメンコ生涯わからへんかった思います。
クラッシック以外どんなジャンルでも譜面は馬鹿にされましたわ。
26歳の時、キャリアをすべて捨ててゼロから音楽勉強しよ思て、楽譜の勉強したんですわ。
ドラムにはドレミファがありまへんしね。
ヴォーカルやろおもて、ピアノから勉強しましたわ。
スタジオ・ミュージシャンは必ず譜面こだわりまっせ。
知らん曲譜面みてその場で演奏するんやし、それはそれで凄い思いまっせ。
職人でっせ、カッコええでっせ。
ある程度譜面読めると、なんとなくその曲が見えてくるんすわ。
例えばウエルバのファンダンゴって、セビジャーナスやブレリア同様、
ごっつい数おますやん。わりと最初に習う踊りやし。
踊りのスタジオで伴奏するとセビ同様よくオーダーきますわ。
5~6曲インストで弾ける曲持ってたんすが、
あんまり一般的でないものやったから、
歌い手さんと合わせるとき、初見ではイマイチでした。
メディオ抜きなんてのもありますしね。
この前ペーニャ・レジェンダ・デ・東京の前の時間にやっとるカンテ伴奏教室で、
ファンダンゴの譜面もらいおったんですが、
その譜面のおかげでわかりましたわ。
今まで何苦労してたんやろって思いましたわ。
シンコー・ミュージックからアルディメオラの「地中海の舞踏」の譜面出てまして、
パコのパートとディメオラのパートが書いてあるんすが、
フラメンコの人が書いてるんじゃないからおもろいでっせ~。
特にアルサプーアの部分が。
基本フラメンコはコード表記しないんですが、
小森さんはコードどころか 11th、13th ~mb5など、
ジャズやボサノバで使うテンションコードまで表記してあって、わくわくしますわ。
偉大な先輩たちに感謝ですなぁ。いや~フラメンコって本当にいいもんですね