先日、テキーラ・マエストロのMさんが40歳になった、というので、いい酒と音楽を用意して、仕事が明けた朝4時すぎから酒宴を開始! その時にかけたトップバッターが、トマティートの新譜「ソイ・フラメンコ」(2013)だ。

ファンのみなさん、トマティートが今年、新譜出したって知ってます? これほどのギタリストの新作なのに、日本では何だかあまり話題になってない様子なので、あえてここで取上げてみました。
 タイトル曲のブレリアは「ソイ・フラメンコ」。つまり、「オレはフラメンコだ」ってなわけで、ジャズやラテンなど、あちこちのジャンルを渡り歩いていた最近とは違い、久々にフラメンコなトマティート節が炸裂。筆者の愛聴盤「ギターラ・ヒターナ」(1996)を彷彿させる、黒い火花をバチバチ散らし爆走するナナハンのような音は、まさしくトマテ! オレ!だ。個人的に途中から入るコーラス(娘のマリ・アンヘレスら)は不要と思うのだが、これは最近の流行りだから? 
 トマティートを世に送り出した張本人で、今も師とあおぐ夭折した伝説のカンタオール、カマロン・デ・ラ・イスラ(1950~1992)との、昔の録音での共演も、好きな人にはたまらないかもしれない。6曲目のシギリージャ「エル・レガロ」と9曲目のブレリア「コーレ・ポル・ミス・ベナス」がそれだ。
 まあ、曲のアレンジには好みがあるが、トマティートのギターだけはいつ聴いてもやはりいい。そしてこれに合わせていた酒は、アンダルシアの銘酒の一つ、マンサニージャの代表銘柄「ラ・ヒターナ」だ。フラメンコ・ファンなら、きっと一度はどこかで飲んでいるはず。ラベルの古めかしい衣裳のヒターナがトレードマークだ。
 今回飲んでいたのは、その「エン・ラマ(en rama=生)」という限定ヴァージョン。ほぼ無濾過なので、フレッシュかつ濃厚な味わいが愉しめるという触れ込み。モノクロラベルもシンプルでいい。やはり通常版よりも琥珀色がやや強く、コクがある。冷えたこれをあおってトマティートのギターに耳を傾ければ、瞬時に炎暑のアンダルシアへ飛べること請け合いだ。
「彼(カマロン)は僕に言っていた。"ホセ(トマティートの本名)、道を誤るなよ、フラメンコは、フラメンコを弾かなきゃいけないのさ"」(ライナーより抜粋)
 トマティートはこれからもビシビシと、黒い響きの"エン・ラマ"なフラメンコを弾いていってほしい。21世紀のファンは、近頃そんな生々しい音に飢えている。

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