バイレ・ソロ総評

高橋英子
●新人公演でスペインでも認められそうな期待の新人が発掘されるのは嬉しいことですね。そして今年から、スペインのラ・ウニオンのコンクールの予選も兼ねることになりましたので、今まさに門は開かれ、明日への期待は一層高まって行きますね。今回バイレ・ソロ部門で中学生の受賞者が出ましてビックリ、頼もしいです。また、ラ・ウニオンのコンクールには同点ということで2人が選出されました。来年が楽しみですね。
 今回も沢山の踊り手さんが挑戦なさいました。近年の技術の向上もさることながら、中には「これはなんだ!」と思わせるような凄みを感じさせる方も多かったです。これはラ・ウニオンのコンクール予選を兼ねているからなのか、特にそういうことでもなく自然な現象なのか、とにかくスペインへ行っても恥かしくないような実力を持っている方も少なからずいらっしゃったのは頼もしいことです。
 新人公演はコンクールではないという壮大なロマンを持つ祭典です。やっぱり参加することに意義があるといえますね。ちょっとソロの場合は膨大な経費が掛かってしまうのは大変ですが、賞などにこだわらず、いっぱい練習して、大きな舞台で一曲に想いを込めて踊るのっていいですね。奨励賞を取るまで頑張りたいと一生懸命努力している方々には、いつか夢が叶う日がやってくればいいなあ、と思います。大事なことは賞を取っても取れなくても、その体験は活かされるということです。人生はそういう体験の積み重ねじゃないですか?ただボンヤリ生きているのは寂しいものです。私もあまり賞には縁がなかったですが、挑戦してみることの積み重ねは自分のフラメンコ人生の為になり、活力になりました。そして色々な思い出を作り、人生を彩りました。
 ちょっと選曲に関してですが、やはり一曲しか踊れないので、選ぶとしたらシリアスな曲になってしまうという傾向があるようですね。いかに踊るかが問題で、曲目などは二の次かもしれませんが、ちょっと残念に思ったのは、ソレア系やシギリージャなどの曲がやたらと多く、アレグリアス系、2拍子系の曲が少なかったことです。アンダルシアのグラシアやサレーロを感じさせる優雅で粋な世界があまりなかったです。皆さんバイレ・ヒターノが好きなんですかね?また、伝統的なフラメンコ曲がだんだん見られなくなったなと感じています。フラメンコはバラエティに富んでいて、フラメンコ曲って沢山あります。新人公演ではもっと色々な曲を色々な個性で踊ってもらえたら嬉しいなと思いました。
最後に一言。今回出場者の印象や演技の感想などを簡単ですが書かせていただきました。一回しか見られないのは残念でした。出場者の皆さんの自主性と舞台での健闘を称え、ここで大きな拍手を送りたい気持ちです。
菊地裕子
●今年のバイレソロ部門は、ラ・ウニオンのカンテ・ラス・ミナス音楽祭の日本予選も兼ねるとあって、昨年より10名多い65名が出場。そのうち3名は奨励賞の既受賞者で今回の奨励賞の対象外になる。選考委員にとっては、ちょっとばかり評価方法がややこしいことになったが、私は例年通りの採点方式でメモを取った。すると、既受賞者以外の【特A】評価がちょうど規定数の7名になっていたので、ほとんど迷うことなく、その方々を奨励賞に推薦し、ラ・ウニオンへは既受賞者の石川慶子さんを推薦した。
 今年のバイレソロで気になったのは、上手な人がひしめいていて、年々レベルが上がっていることを感じさせたにもかかわらず、強い印象を残す人があまり見当たらなかった点だ。コンクール予選の影響だろうか、破綻のない優美な踊りに無難にまとめ上げている感じ。しかも力みもあってか、後半の盛り上がりに欠け、見ているほうが欲求不満のまま終わってしまうケースが多かったと思う。序破急が鮮明でないのだ。しかも今年のバイレソロ部門はソレアだらけ、衣装も黒か赤といった似たようなワンピースだらけ。無難に踊れば埋没してしまう。
 奨励賞は投票による多数決がベースなので、特にバイレソロは舞踊的に平均点の高い人が受賞する傾向がなきにしもあらずかと思う。しかし平均点の高さとバイレの魅力とは全く別ものだ。振付をいかに上手に踊るかではなく、いかにあなたが自主的にバイレを創造していくかを私は見たい。いや、フラメンコが好きな人なら、誰だってそうだと思う。受賞してもしなくても、どっちでもいいじゃないの。新人公演を良き通過点、挑戦の場として、自分のフラメンコを究めていって欲しいと切に願う。いつか、あなたの踊りで人々の心が震える日が来るかもしれない。どうかその日まで、沢山の愛をフラメンコに注いでください。
※評価=【特A】>【A】>【A'】
※菊地が奨励賞に推薦した人=【推薦】
西脇美絵子
●バイレ・ソロ部門は毎年実力者揃いでしのぎを削る激戦が繰り広げられますが、今年は例年にもまして出場者のレベルが伯仲していました。但し、突出した人は少なく、下の方の人たちのレベルが上がっていました。結果としてますます選考は難しいものとなりました。
 「惜しくも!賞を逃した」人が大勢いました。誤解を恐れずに言うなら、受賞者と「惜しかった人」の間に明確なラインなどないといっていいでしょう。受賞した方も、されなかった方も、そのことは心に留めて頂いていいと思います。
 みな、同じようにうまい。これが3日間見ての率直な印象です。でも、「皆同じように」ではダメなのです。面白くないです。技術は当然必要です。でもその先にあるなにか
を掴んでほしいと思います。
 そんな中、奨励賞対象外でウニオンのコンクール予選として出場した3人の方々の踊り手には心を打たれました。
 なお、絶対奨励賞!と感じた人は「◎スペシャル」、奨励賞と思った人は「◎」 奨励賞のボーダー上にいると思った人は「◯」、もう少しでボーダー上と感じた人は「小◯」の印を最後につけました。上記の3人も奨励賞対象外ではありますが、同じものさしで印しました。

バイレ・ソロ部門 8月22日(金)第1日

写真:©大森有起

1.佐渡靖子(タラント)

佐渡靖子(フラメンコ/バイレ/タラント)

●ブラッソはとても綺麗ですね。曲に関係なく上体の美しさが浮き出てそれなりに魅せることができそうです。技術的には問題ないですが、表現の段階でバックアーティストの織りなす音の世界やアイレにうまく乗れるようになって欲しいです。振りの溜めこみとか、何か一瞬の火花、爆発力も欲しいところです。(高橋英子)
●身体をいっぱいに使ってのタラント。昨年より見応えが出てきた。唄振りはとてもよく踊れているが、その後、踊りがバックをリードする気配がない。そのためか予定調和的に見え、ドキドキ感を生まない。足は力強くて素敵だった。ただ回転が不足気味。もう一息、表現力を磨いて!(菊地裕子)
●トップバッターの緊張をはねのけて、最初から高い集中力。重量感のあるエネルギーを放出しながら、リズムにもよく乗っている。バックの音楽陣についていくのではなく、自律的にマンダールしているところが素晴らしい。タラントの曲想をしっかり表現している。[◯](西脇美絵子)

2.青木千鶴子(ソレア)

青木千鶴子(フラメンコ/バイレ/ソレア)

●表情が激しく、最後の引っ込みで観客の方を睨むなどととても気が入っていたのを感じました。でもまだ時々身体が浮いてしまって重量感乏しく、動きに平坦さが見られます。容姿端麗でステキなので、衣装がもっとソレアふうでシックだったら雰囲気増してよかったと思いました。(高橋)
●力強さを感じるソレア。惜しいのは、正面を向いたパソが多いこと。踊りの場合、ストレートだけで勝負するのは得策とは言えません。また、踊りのタイプとしてエネルギーを全部外に出してしまう傾向があり、内側の充実が今ひとつ伝わってこない。せっかくのソレア、中に溜めるエネルギーを探って。(菊地)
●重厚なソレアを表現するべく、意識は下に向かっているのはわかる。だが、まだ大地とつながった重さになっていない。昨年までとは明らかに違う落ち着いたオーラを発していて、成長の跡はくっきり。でももう一度、立ち姿の重心の置き方、腰の入れ方など、超基本的なことを確認して! 外側はかなり出来上がっている。体の軸をしっかり作れば格段に良くなるはず。(西脇)

3.大岩奈青(シギリージャ)

大岩奈青(フラメンコ/バイレ/シギリージャ)

●原始的なイメージ。レトロな雰囲気。デンとした重量感ありでよかったです。内面には秘めた想いとテンペラメントが同居し、自分の持つイメージを大切にしながら踊っている、そんな印象を受けました。いまいち強い押しのなさを感じてしまいますが、明るい曲では本人がどう変化するのか見てみたい気がしました。(高橋)
●フラメンカな雰囲気を感じさせるシギリージャ。見ていて自然ではあるが、唄振りはやや動き過ぎの感。その後の見せ場とのメリハリがうまくつかず、全体に緩急がないようなイメージになってしまった。同じ振付でも動きのエネルギーを調節することでメリハリはつくはず。力配分の再考を。【A'】(菊地)
●スタートから集中していて勢いがあった。切れ味の良さと重いマルカールのコントラストが素晴らしい。身体で周囲の空気をぎゅっと掴んで、体内でふくらませて放出、これは事件だ!フラメンコだ! 昨年までとは格段の進歩。[◎](西脇)

4.長本真由(ソレア・ポル・ブレリア)

長本真由(フラメンコ/バイレ/ソレア・ポル・ブレリア)

●小さな身体をよく動かして懸命にマルカールしていましたね!振りも現代的で楽しめ、決め技をよく熟知していました。ブレリアのノリをよくつかみ、よりフラメンカな自分を目指し、何よりもフラメンコの面白さを感じているのがよかったです。踊りを大きくすることが肝心で、上体にうねりが付けられるともっとよくなると思いました。(高橋)
●これまたフラメンカな雰囲気のソレア・ポル・ブレリア。コンパスを身体中で表して心地よく、昨年より格段の成長を感じる。指の先までセンティードが行き届いているのがわかる。ソレ・ポル特有の気分の高揚が続いて○。欲を言えば、もう少しインパクトが欲しかったが、心地よさが勝った。【特A】【推薦】(菊地)
●気合十分、パワーのあるバイレ。重心の移動スムーズでよく身体が動いている。よく踊り込まれていて、振りを自分のものにしている。ただ、一本調子なのが惜しい。タメを効かせ、力の抜きどころ抜き方を覚えれば、更に良くなるはず。[◯](西脇)

5.堀越かおり(ソレア)

堀越かおり(フラメンコ/バイレ/ソレア)

●容姿端麗、そこに純な想いが込められている。オーソドックスな振りで、スッとしていてキリッとしたところもあり、ステキな踊りでした。マノは回し方を考えるともっと良くなるなとか、テクニックはもっと勉強できるなと思いました。まだ押しの足りなさがある中で、最後の引っ込みがただ歩いていくだけなのは説得力に欠けました。(高橋)
●見映えのする、非常に優美なソレア。舞踊的センスの良さが光る。内包しているものが大きく、かつ丁寧な踊りで説得力がある。バランスは取れているが、惜しいことに決め手に欠けた。多くの人がそうだけど、ここぞという時に中に溜めていたものが出て来る瞬間がなかなか訪れず、不完全燃焼に終わる。それは形の問題ではなく、出て来る感情の深さと支える身体の問題ではないかと思う。もっと踏み込んだ踊りが見たい。【A'】(菊地)
●落ち着いて丁寧に踊っているのがいい。技術的にもある程度しっかりできていると見受けられる。大きな欠点があるわけではないのだが、迫ってくるものがない。もうひとつ踏み込んで、踊ってください。
 コンクール決勝進出おめでとう! 残念ながら日本サイドの選考では良い結果が出ませんでしたが、こうなったら、そんなことは意に介せず、がんばってください。スペインサイドの選考委員は、あなたの踊りに唯一オリジナリティを感じたと言っていました。まだ1年ありますからね。精進を続けておもいっきりチャレンジしてきてください。(西脇)

6.佐藤理恵(ソレア)

佐藤理恵(フラメンコ/バイレ/ソレア)

●髪は真ん中でキリッと分けて、アンテックなイメージ。レマーテで決めて行く流れが自然に盛り上がり、スペイン人バックのフラメンコなノリにうまく融合して、申し分ない踊りだったと思います。かなりの安定性と落ち着きを持っていて気迫ある踊りでしたので、表情が時々凄かったですね!(高橋)
●抑制のきいたソレア。重みがあって惹き付ける。ただ、せっかくの感情の発露が、まだ振付に留まっていて自分のものとして出てきていない。もうひとつ先、中をえぐり出して見せる勇気が欲しい。怒りでも悲しみでも嫉妬でも愛情でもいいから、深く大きな感情を自分のものとして差し出して。【A'】(菊地)
●身体ができていて基本的技術力もある。重心の移動がスムーズで動きに自然な流れがある。ただ、エネルギーを前に押し出すパワーがない。表現力を身につけたら化けるかも。素質を感じました。来年に期待![小○](西脇)

7.佐藤陽美(ソレア・ポル・ブレリア)

佐藤陽美(フラメンコ/バイレ/ソレア・ポル・ブレリア)

●赤いリボンを首に、無造作に巻き付けているのが印象的でした。踊りは上体がまだ硬く、ブラッソやマノに丸みが欲しいところで、ちょっと平面的。全体的にまだ未熟なカンジは隠せないのですが、なぜか「筋はいい」と思いました。このまま地道にやっていれば、自然に精進していくと思うので楽しみです。(高橋)
●素直なソレア・ポル・ブレリア。身体の使い方に未熟な点があり、振付が振付で終わっているのは否めないが、目一杯、自分らしさを出そうとしている感じは悪くない。筋の良さを感じる。一つひとつのパソをもっと丁寧に消化し、自分のものとしてリアリティを持って踊る勉強をしてください。(菊地)
●とても美しい一瞬がある。しなやかな身のこなしに舞踊センスを感じます。力が入りすぎてなくていいのですが、全体が流れてしまう印象は否めません。一つ一つの動きをもっと丁寧に踊りきりましょう。もっとパワーを出せる身体と思います。[小◯](西脇)

8.松井洋子(シギリージャ)

松井洋子(フラメンコ/バイレ/シギリージャ)

●スペイン人のバックで気持ちを込めて踊っているのがわかりましたし、かなり日本人的なイメージ(大和撫子)ではありますが、雰囲気はステキでした。技術的にはブラッソやマノを動かしきれてない、決めが弱くておとなしく、表現の幅を狭めている感じがしました。まだ勉強できることあるようですので頑張ってください。(高橋)
●シギリージャだが、何かピリッとしない。センティードがどこか違い、どちらかと言えばソレアのように感じた。曲種的にはもっと身体にも動きにも厳しさが欲しい。カンテにしてもギターにしても、シギリージャは踊り手がそう易々と動けるようには演じていないはず。自分が踊る曲種のカンテをもっと沢山聞き込んで。(菊地)
●浮わつかず落ち着いて踊っているのがいい。基本的な技術はできている。表現力が課題。もっとバックの音楽陣のパワーを吸収してその身に取り込もう!カンテやギターの発するドラマを身体表現に変換させなければ。[小◯](西脇)

13.福島沙弓(タラント)

福島沙弓(フラメンコ/バイレ/タラント)

●ちょっと動きは硬めですが、現代的で悪くない振付をバックのフラメンコスのアイレに気持ちよく乗って踊っていました。落ち着きもあり、粋な動作もあったりしてステキでよかったのですが、ちょっと表情を作り過ぎの感が随所に見られ残念でした。特にタンゴの導入部分はなんとか修正してもらえたらなぁ~と思いました。(高橋)
●黒いブラウスに柄物のチャケータ、スカートという出で立ちで、フラメンカな振付のタラント。それだけで私は個人的に好きなのだが、姿勢がイマイチで見せ場もピリッとしない。背筋力が弱いのかな?舞踊的な技量はある人だと思うので、姿勢が決まれば、もっとノリも出てくるはず。(菊地)
●踊りこまれたバイレ。動きがこなれていて振りが自分のものになっている。時間をかけて熟成させたバイレだと思う。力の入れどころ、抜きどころがわかっているのが素晴らしい。結果、大きなパワーが美しい曲線に化ける。首が前に落ちる瞬間があるので注意を。[◎](西脇)

14.黒須信江(アレグリアス)

黒須信江(フラメンコ/バイレ/アレグリアス)

●厭味ない自然な笑顔で余裕ある踊りでよかったです。全体的にちょっとおとなしく、日本的なイメージが先に立ってしまっている感はありますが、振付に工夫があって効果的な演出が利いていて、バックの伴奏もよかったことが幸いしたと思います。技術的にはブラッソやマノをもうちょっと研究して欲しいと思いました。(高橋)
●良い雰囲気を持ったアレグリアス。上手だし嫌みがない。けれども、コレ!という決め手がない。この人には期待感があるだけに、これが彼女の1曲だと言われると疑問が残る。アレグリアスを選曲したのなら、明るい部分だけでなく、それを支える深い感情をベースに、もっとはじけて欲しかったと思う。【A'】(菊地)
●一つ一つの技術はしっかりしている。リズムにもよく乗っている。うまい! よく踊り込まれていて振りが自分の物になってもいる。ただ、それが大きなエネルギーになって迫ってこない。自身のエネルギー増幅装置をどこかでみつけてほしい。胸の内のほとばしりを表に表現できたとき、大きな炸裂を生むはずだ。[◯](西脇)

15.徳田悠乃(タラント)

徳田悠乃(フラメンコ/バイレ/タラント)

●感情表現が自然で、表情も大げさでなくてとてもよかったです。ちょっと地味でおとなしいイメージではありますが、テクニックの安定性と落ち着きがあり、ブラッソ、マノが美しく、上体の動きをよくつかんでいてフラメンカだったと思います。チョッキを脱いで颯爽と去っていく最後も悪くなかった=カッコよかったです。(高橋)
●しっかりしたタラント。自分の中にイメージが鮮明にある感じ。見る人を集中させる、良い踊り手だ。終始リードして踊っているように見えたが、もう少しバックとからんで遊ぶ場面があっても良かったのではないかと思った。特にタンゴになってからは、もっと力が抜けたところも見たかったな。【A】(菊地)
●落ち着いた硬質なアイレは、ある種の魅力を感じるのだが、動きが流れてしまっているので、盛り上がりに欠けたままなんとなく終わってしまった。よくまとまってはいるとおもうしだが。ちょっとした細かい部分にセンスを感じる瞬間がなんどかあった。ファルダ使いをもっと丁寧に。[小◯](西脇)

16.平田かつら(ソレア)

平田かつら(フラメンコ/バイレ/ソレア)

●大きく両腕を開くとそれだけでかなり目立つ、そんな体型を活かし落ち着いて堂々と踊っているところはよかったです。ただ、まだ技術や経験が足りないからか、身体が浮いてフワフワしてしまい、勢いを収集できなくなってしまいます。課題がまだいっぱいあるようですが、いつかは本当に大きい踊りを目指して頑張ってください。(高橋)
●シンプルな振付のソレア。踊り手としての身体づくりがまだ途上なのか、軸が甘いので、どの動きも決まりきらない感じ。こういう振付の場合は一挙手一投足にリアリティがないと、何のために踊っているのか観客にわからない。説得力ある踊りのためには、まず身体の芯を作ること。要鍛錬!(菊地)
●余計なことを考えず素直に踊っているところが好印象。恵まれた肢体があるのだから、体幹をもっと鍛えて腹で周囲の空気を動かさなくては! 基本はそれなりにできてると思うが、まだかなり大味。細部をもっとつめて磨きをかけてください。[◯](西脇)

17.津田可奈(シギリージャ)

津田可奈(フラメンコ/バイレ/シギリージャ)

●しみじみと、そつなく踊っていて良かったです。か弱いイメージの自分から強く逞しいイメージへと、内面で健気な努力をしているような感じがしました。もうちょっと踊りに立体感が欲しいところ。出だしの振付がステキで、全体的によく考えているメリハリのある構成でもあり、なかなか雰囲気あるステキなシギリージャでした。(高橋)
●非常に厳しい雰囲気のシギリージャ。曲をよく自分のものとして踊っている感じで、随所に心惹かれる部分、感動する部分があった。ただ全体に空気が固すぎたか。緩急をもっと入れると観客も受け入れやすいはず。特にラストのほうはもっと開放されたところもあって欲しかった。【A】(菊地)
●はじめは相当緊張していたのだろう。前半、上手く踊っているのになかなかこちらに熱が届いてこなかった。バックの瀧本さんのカンテがとんでもなく素晴らしかったので、「この力を身体にとりこんで!」と心中叫んでいたら、後半どんどんよくなった。結果、トータルでは、ドラマチックなシギリージャを実直に踊ったという印象。惜しい![◯](西脇)

18.高木栄子(ソレア)

高木栄子(バイレ/フラメンコ/ソレア)

●キラキラの髪飾りが印象的で、よく健闘していたのがわかりました、まだ燃えきらないおとなしいイメージです。気になったのは、振りの中でのポーズの取り方が画一的、体操的なこと。サパテアード時の前かがみ加減なども修正できるところかもしれません。もう少し技術アップを目指し、カンテの勉強などもしてみてください。(高橋)
●全体に習った振付をおさらいしているような感じ。動きがやや硬く、ポジショニングが甘いので、動きが決まらない。また、ソレアのコンパスは足音だけで刻むわけではなく、唄振りの重心移動はもちろん、ブラソもクエルポも、マルカールというくびきから自由ではないという認識が必要。これ、わかりにくいかもしれないということは百も承知で、あえて書きます。(菊地)
●以前よりも立ち姿が格段に綺麗になった。だが、下に向かうパワーがまだ弱い。体の癖がかなり克服され、成長の後が読み取れたのがうれしい。さてここからその器に何を注ぎ込むのか? どう熱を放出させるのか? あなたの思いと身体が一つになる準備が整えられたと思う。さらなる精進に期待したい。(西脇)

19.大家由美子(ソレア)

大家由美子(フラメンコ/バイレ/ソレア)

●まだこれからいっぱい勉強できますね。今回はバックアーティストの頑張りのが目立ってしまいました。フラメンカなアクションをすると踊りが幼稚になってしまうので、合間を見て、ルンバのCDでもかけて腰を振る練習するなどして、幅広いフラメンコの勉強と技術アップを目指して頑張ってください。(高橋)
●心意気は感じるのだけど、まだソレアの振付が自分のものになっていない。その割には動きが大きいので、中身以上のことをやっているように見えてしまう。振付がパロディみたいに見えてくるのです。それでブレリアで息切れしてしまった感じ。とにかく踊り込むこと。まずはそれ。(菊地)
●ちょっと投げやりでアンニュイな空気感がなんだか素敵。気風の良さを感じさせるバイレで、見栄切りもなかなか。ただ、まだすべてが荒削りなので細部を丁寧に磨いていってほしい。フラメンコ的センスの素質を感じます。(西脇)

20. 永田健(ファルーカ)

永田健(フラメンコ/バイレ/ファルーカ)

●スペインコンクール予選に出場する心意気は立派です。伝統的な振付のファルーカでしたが、顔が髪の毛で覆われて全然目の表情とか見えませんで、残念!華奢なイメージですが、踊りは無難に熟していて、ポーズが綺麗で決まっていました。サパテアードの音はきれいですが、もう少し力強さがあったらいいなと思いました。(高橋)
●クラシカルなファルーカ。昨年、奨励賞を受賞したのと同じ演目だが、個々の動きが確実になり、より安定感が出てきた。その分、意外性に欠けるきらいもあるが、ピーンと張りつめた空気を持続しながら、スタイリッシュに決める格好良さは、昨年より今年に軍配。次はアレグリアスが見たいな。【特A】※既受賞者(菊地)
●昨年奨励賞を受賞したのと同じく、ファルーカで挑戦。音楽編成が大きく変わっていたし、多分振付も細部は変わっていたと思うが、正統派バイレの趣は堅持されたいた。ポエジーな佇まいはこの1年更に踊り込んできた成果だろうか?と感じた反面、感動は昨年のほうが大きかった。いまひとつ、炸裂感がほしい。[◎](西脇)

3つの壁の乗り越え方

【フラメンコに行き詰まりを感じている方へ】

フラメンコ(カンテ/踊り/ギター/他)が難しい...
先行きが見えない...
壁を感じている...