<バイレ・ソロ部門総評>

菊地裕子

●今年のソロ部門は私には非常に面白かった。心を開放させてくれる踊り手が何人もいたからだ。どれだけ泣いたり笑ったり、リズムや展開に心を躍らせたりしたことか。今年は伴唱をスペイン人が務めるケースが非常に多かったが、エネルギー全開の彼らのカンテをしっかり受け止めて踊る人が少なくなかった。これは特筆に値する。日本のフラメンコ舞踊もここまで成長したかと感慨深い。また、極めてシンプルな振付で深いフラメンコを感じさせてくれた出場者が何人かいたことも非常に嬉しいことだった。この感覚なくしてどれほど難しい技を重ねたところで、感動には及ばない。ここがスタートだと私は思っている。たかがライターの分際で偉そうに書いているのも、この基盤が失われつつあったのを危惧してだけど、ここのところ、フラメンコの大事な部分をちゃんと理解して踊っている人が増えてきた気がして、無性に嬉しい。だったら、もう私が書かなくてもいいようなもんだが、年齢のせいか言い遺したいことがあれもこれも出てきて困るので、後悔しないで済むようにまたぞろくどくどと書いてしまった。きつい言い回しもあるかと思うけれど、あくまで舞台を観て感じた菊地の私見であり感想であり、えーと困った性格であって、誰かを攻撃したりする意図は毛頭ありません。私が言いたいのはただひとつ。フラメンコは本当にオレ!ってことです。

 

西脇美絵子

●バイレ・ソロ部門は例年レベルが高い。だが、今年はやや停滞気味だった気がする。ずば抜けた人というのがあまり見当たらなかった。下の方のレベルは維持されていたのでいつも以上に僅差のところに大勢がひしめきあっていたことになる。個人的には、絶対奨励賞!と思った人(◎スペシャル)が2人、奨励賞と思った人(◎)が1人、奨励賞のボーダー上にいる人(○)が14人 もう少しでボーダー上と感じた人(小○)が9人。ここまでで26人。因みに去年はこの枠に40人の人がいた。私の選考の物差しについて少し。「奨励賞のボーダー上」と「もう少しでボーダー上」を分けるのは、ほとんどの場合技術力、それもフラメンコ舞踊を踊るための身体の動かし方など基本的な技術力の差だ。「奨励賞のボーダー上」と「奨励賞」とをわけるのは、こちらを感動させてくれる、釘づけにしてくれる何かがあるかどうかだ。何かとは、表現力や説得力だったり、際立つ個性(自分のやりたいことが明確)だったり、圧倒的な技術力(音楽力も含む)などなど色々あるが、多くの場合はそれらが交差しあって強烈なインパクトとなる。今年全体を見ていて感じたのは、多くの出場者たちの砂上の楼閣的技術力の高さだった。皆上手いのだ。フラメンコ舞踊ならではのカッコイイ振りや所作を器用にこなす。身体も足もよく動く。だが、フラメンコを踊るための身体がしっかりできている人が極めて少ない。体幹をしっかり鍛えて周囲の空気を動かすことのできる人がほとんどいなかった。重く張りつめ、それでいてしなやかな美しいブラソで踊った人もほとんどいない。するとどうなるか? 難しい振りをツメツメに詰め込んで踊ることはできても、タメが効かない、胸に響くマルカヘがない。決めはかっこよくまとめても、途中がおざなりでごまかしが多い。歌ぶりを何コンパスか立ち姿のまま聞くという振付が今年は結構あったが、何もしないでいる少しの時間が空虚で持たない。どんなに気合が入っていても、フラメンコ舞踊としてきちんと押えるべきことが押えられていないと、それは説得力にも表現力にもならないのだということを肝に銘じてほしい。身体を大きく動かすから踊りにスケール感が出るのではない。フラメンコ舞踊は、自身の周囲の空気をどれだけ動かせるかが肝心なのだ。いうまでもなく、フラメンコ舞踊は単に美しさや超絶技巧を競うものではない。いや、美しさや技術を極めることだって大変なことなのに、その先にある確かな何かをつかみ取り体現しなければフラメンコの大きなうねりを生みだすことはできない。そう、フラメンコ舞踊は難しいのです。皆さんの多大な努力と情熱がいつの日か実を結ぶよう心から応援しています。前述の29人には各講評の最後に、◎スペシャル、◎、〇、小〇の印を付した。

 825() 第2日


.瀬戸口琴葉(タラント

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身体の使い方は舞踊的にはきれい。だが、軸が時折ぶれてしまい、振りと振りのつぎ目でテンションが落ち、ゆるんで見えた。素直に踊っている点は好感が持て るが、まだ振付を順番に上手に踊るところにとどまっている感じ。色々な振付をやるより、身体を作りながら、ひとつの振付をじっくり踊り込んで深めてみては どうだろう。(菊地裕子)

●昨年よりも 少し大人っぽい雰囲気に。よけいなことを考えずに素直にまっすぐ踊っているのは、今年も変わらず、好感度大。でも、フラメンコはやはり、内側から溢れ出る エネルギーをもっと感じたい。サラッと踊っているいように見えるが、そこは無理やり思いを演出するのではなく、瀬戸口さんの成長とともに豊かになるのを私 は待ちたい。今するべきことは、フラメンコを踊る身体、特に体幹を鍛えること。エネルギーの放出やコンパスを身体で表現できるような訓練を積むことだと思 う。これからが楽しみです。(西脇美絵子)


8.黒須信江(ソレア・ポル・ブレリア)

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ソレア・ポル・ブレリアの持ち味ってこうなんですよと、まるで教えられたみたいに良かった!綿々と続くリズムの輪。振付も非常に似合っていて、ゆるんだと ころが見当たらない。プロでもなかなかこうはいかない。上手い!課題は強烈な個性か。今や上手な人は一杯いるからね。あなた印を深彫りして![特A(菊地)

●何を踊ろう としているのか、どんなフラメンコが踊りたいのか、自身の明確な意思が打ち出されていたバイレ。フラメンコ舞踊ならではの身体の使い方ができており、シン プルな振りを落ち着いて踊った。素早い動きの部分でも追い立てるような感覚がないのがいい。フラメンコへと向かうまっすぐな気持ちが伝わってきた。エル・ プラテアオのカンテを受け止め、それを自身のエネルギーに変換させる力があってすばらしい。準奨励賞受賞。◎(西脇)


9.大槻敏己(アレグリアス)

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男らしく力強い踊りで印象的。雰囲気をよく捉えていて、イメージが伝わる。けれども立ち姿とブラソの使い方に少々課題あり。表現力が今ひとつ弱いので腕が 短く見えてしまった。白ベストに黒シャツだから、それが強調されたかも。あと、欲を言えば、もう少しリズムの楽しさを味わわせてほしかった。これからさら に精進!(菊地)

●昨年残され た課題をきっちりクリアしての再挑戦。踊りの質がまったく変わっていた。お決まりの形を突き破るエネルギーに溢れ、身体の動きが生き生きしていた。形を超 えた何かの萌芽を感じたが、彼のスタイルの完成形(現過程での)はその先、とも感じたので、私のノートには来年に期待!と書いてある。が、みごと奨励賞を 受賞。この1年続けてきた方向性で、さらに精進してください。もっと良くなります。○(西脇)


10
.小島智子(ソレア)

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舞踊の技術はある程度持っている感じ。けれども、全体の動きに柔らかさが目立ち、踊りが感傷的というかメロドラマ風になった。ソレアを表層的に捉えてし まっていないだろうか。何というか、崖っぷちで踊るぐらいの気合いがほしい。振付を上手にこなすことから、もっと踏み込んでフラメンコの怖さ、美しさを追 求してほしい。(菊地)

●これだけ大勢の人の演技を続けて見ていると、最初の30秒の印象が非常に大事であることを痛感する。最初にググッと惹きつけられる と、見る方も途端にわくわくした気持ちでその後を見続けられるからだ。パルマ始まりの振付だったが、この時の姿勢が残念ながら美しくなかった。基本的な技 術力はある人だと思うがその後も全体に小さくまとまった印象。後半に入ってようやくパワーが前面に出てくるようになり、力強いソレアになった。(西脇)


11
.藤本ゆかり(シギリージャ)

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振付が自身にしっくりきていたのか、ちょっと疑問。サパテアードが全面的に強調されていた印象だったけど、説得力に欠け、全体に力不足な感じを受けた。あ と、ブエルタがまだ甘い。体幹を鍛えてへそで踊ることと、振付の再考を。良いものを引き出してくれる振付がきっとあるはず。(菊地)

●自分のフラ メンコを表現しようとする強い意志を感じる。それが個性にもなっており、また動きのクセにもなっている。フラメンコの重さはある。顔の向きやファルダづか い、ブラソなど、自分の身体の部分部分を一度冷静にチェックしてほしい! 技術的には荒さが目立つが、思いは伝わってくる。その思いを存分に身体で表現で きるよう、基礎をしっかり。どんな踊り手になっていくのか、楽しみな人です。小○(西脇)


12
.石川慶子(シギリージャ)

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●フアン・ビジャールのカンテに応えて素晴らしい出だし。大きな感情を内包し、無常を感じさせる深い踊り。全くもって振付が自分のものになっている。そして強さと美しさと、しっかりしたシギリージャの世界観。すごいすごい、圧倒された!オレ![特A(菊地)

●内側から溢 れてくる思いが、よどみなくこちらに襲い掛かってくる濃厚なバイレ。やや力み過ぎがあるが、身体のキレ、スピード感があり、タメも効いている。自分の世界 を思いっきり表現しようという思いに終始溢れていながら、ヌメロの中に入り込んでいこうする意気も十分に感じられた。やや、感情表現が過剰になりすぎるき らいがあり、ベタつく感じが気になったが、これだけ強い表現欲求をストレートにぶつけてきたその姿勢へのオレ!が勝った。これからは、少し抑制の効いた感 情表現ができるようになると、より説得力が増すと思う。今後の活躍に期待します。奨励賞受賞。◎(西脇)


13
.柿崎祥子(ソレア・ポル・ブレリア)

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●削ぎに削いだ振付に見えた。大劇場の舞台では地味すぎて、奨励賞の8人枠からは外さざるを得なかったが、非常に濃密な感情が詰まっていて、その充 実ぶりは比類なかった。すぐれて感じさせるフラメンコ。というか、これがフラメンコでなくて何がフラメンコだ!というぐらいのもん。ビロードのような手触 り。その心地よさに開放され、しばし涙が。ああ、見続けて良かった!ここからスタートしてね!オレ![特A(菊地)

●力みのな い、そして安定感のある大人の成熟が感じられるフラメンコ。技術はしっかりしており、カンテとギターに身をゆだねとても落ち着いて踊っていた。何度も挑戦 している柿崎さんだが、これまでの挑戦とは一味もふた味も違う彼女の今回の挑戦への姿勢に打たれた。今回の彼女のバイレには、気負いとか、過剰な緊張が少 しもなく、非常にまっさらな挑戦に思えて清々しかった。新人公演に年齢や出場回数の制限がないのは、こういう挑戦者のためにあるのではないかと感じ入っ た。気負いがない分、派手さや強烈なインパクトにはやや欠けると思ったが、実力は十分に感じられたので、私は奨励賞に推した。○(西脇)


14
.漆畑志乃ぶ(アレグリアス)

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等身大のアレグリアスは好感が持てる。振付にも無理がない。でも、一つひとつの動きにもっと厳しさがほしい。ブラソはもっと長くなるはずだし、抱える空気 はもっと深くなる。動きを精査して深く掘り下げれば、全体のメリハリも出てくる。後半、やっとリズムが出てきた。これを頭からやってください。(菊地)

●生き生き、 はつらつとしたアレグリアス。元々実力の有る人だが、昨年よりも表現力が深まっている。技術的にもしっかりしていて、大きな欠点は見当たらない。ただ、お しむらくは、無難にまとまってしまったこと。もう一つ、腹をくくって、肝を据えて内側のエネルギーを放出しながら周囲の空気を動かすことができれば、格段 に魅力は増すと思う。○(西脇)


15
.山根智子(ソレア)

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大きな踊りで見映えがする。身体も良く使えていて表現力もある。ブラソも足も悪くない。しかし、ややキレに乏しい。そしてギターとだけ踊っている感じで、 フラメンコの深みに届いていかない。一度、カンテを聴きながら即興で踊ってみて。カンテに感じるもので踊ってほしい、そこに動機があってほしいと切に願い ます。(菊地)

●恵まれた長 いブラソを生かし切れていない。フラメンコ舞踊に対して大づかみは出来ていると思うのだが、すべてツメが甘い。全体に中途半端な印象。音楽にまくし立てら れて押し出されるように踊って見える。早い振りを踊る時もあせってはダメ、全部が流れてしまいます。勢い、パワーはあるので、今一度基本をしっかり積んで ほしい。(西脇)


16
.黒木珠美(グアヒーラ)

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実に達者な、雰囲気たっぷりのグアヒーラ。すっかり自分の踊りという感じで、わざとらしさは皆無。全体を覆う女性らしさも嫌みがなく、とても安心して見て いられる。しかーし!客を安心させちゃダメなのだ!「えっ!」と思わせないと。「どうなるのかしら!」とドキドキさせないと。もうちょっと意地悪になろう よ。根性悪いぐらいのほうが、ずっと心に響く踊りになると思うよ。[A'(菊地)

●恵まれた肢体。決まった時の雰囲気が素敵! 美しい。どこか色っぽく、グアヒーラの世界を豊かに表現していた。。ただ、動きにぎこちない部分が度々目についた。身体をコントロールできていない。練習を続けてください。もっともっとうまくなる人だと思います。(西脇)


17
.徳田志帆(ソレア・ポル・ブレリア)

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見入ってしまった。思わずニヤリとしてしまうようなヒターナ。かつてヒターナ風の振付は、日本人がやると演歌風の粘っこさが出たりするので好き嫌いが分か れたものだが、ついにこのようにカラッと踊る人たちが出てきた。そして何という説得力。すっかり自分のものとして踊っている。ソレポルって面白いと思わせ てくれた今公演2人目。オレ![特A(菊地)

●実力も気合 も十分。肝っ玉印のフラメンコ。フラメンコにじっくり取り組んできたのが分かる。バックの音楽隊との掛け合いが楽しく、お互いが反応し合いながら一つにな り、大きなうねりを作っていた。ムイ・フラメンコ! だが、こういう人にこそ、フォルムの美しさにも目を向けてほしい。そこだけちょっと不満。奨励賞。 ○(西脇)


18
.西内佐知子(ソレア)

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ソレアの要所を捉えて、非常に丁寧に踊った。全体に感じのいい踊りで、達者だし、足も聞かせた。でも決め手に欠ける。足りないのは、はらわたを差し出す勇 気かな。具合のいいところでばかり踊っていると、緊張感は生まれない。壊れるかもしれないギリギリのところで、心で叫びながら踊ってみて。[A'(菊地)

●全体にバラ ンスよくまとまっていたと思うのだが、ドーンとこちらに迫ってくるものがない。技術的にもやや荒く、特にブラソをもっと大切に踊ってほしいと感じた。ギ ターやカンテをもっとよく聴いて、その音に自分の感情を重ね合わせるなど、フラメンコ的感性を鍛えてほしい。美しく華のある人だと思うので、フラメンコの 内実を着実に積み上げて行ってください。(西脇)


19
.柴田千穂(ソレア)

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●個性的な振 付・構成! 動かず、観客をよくよく引きつけ、溜めに溜めてからのエスコビージャは、あざといまでに決まった。モデルノな振付が格好よく、独特の世界観を 醸し出した。けれども、静と動のバランス配分がうまくいかなかったようで、結局は物足りなさが残った。残念!次回はもっと踊ってください。[A'(菊地)

●まだ振りを 追いかけている感じ。たっぷりとした振りをよく我慢して踊っていたと思うのだが、シンプルな振りほど、そこにあなたの必然が見えてこないと空虚になってし まう。長い間(マ)もただじっとしているだけではないのです。たとえ動いていなくても、コンパスが見えてこなくては! 自分の中に豊かなフラメンコの内実 を育ててください。(西脇)


20
.重盛薫子(ソレア)

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真っ当なソレアでとてもいい感じ。けれども、見せようという意識が表に出るせいか、深みが足りない。観客に見せるのが舞台ではあるけれど、観客に向かって 踊るのではなく、自らの宇宙に向かって踊るあなたを観客がたまたま見ているというぐらいの意識がほしい。自分の中を探ってください。[A'(菊地)

●力まず、重く、たっぷりとした」振りを踊っていた。サパテアードにもメリハリがあり、重厚な大人のソレアだった。基本はかなり出来ている人だと思うので、より一層の集中力と、身体で自分の周囲を動かすことを、心がけてください。小○(西脇)


21
.多田美和子(タラント)

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一昨年、これぞカディス!と言いたいほどの素朴でキラキラのアレグリアスを踊った彼女が、意外や意外、今年はモデルノで大人チックなタラントを披露した。 以前にも増して抑制の利いた身体。時折、顔をのぞかせる粋な瞬間に思わず笑みがこぼれる。私としては奨励賞だったが、こういう振付は多くの人と類似点が多 く、あなた印を出すにはもっと工夫が必要だろう。ともあれ、あっぱれな再挑戦![特A(菊地)

●白と赤の衣 装がよく似合っていてチャーミング。踊り出しからテンションが高く、よく集中していたと思う。技術的にはかなりの実力で、身体がきっちりコントロールされ ている。緩急もあり、バックの音もよく聞いていた。だが、全体に優等生的で、フラメンコ的面白みに欠ける。これまでの明るい曲種で表現されていたような、 躍動感、コンパス感が感じられなかったのが残念だった。曲種が全然違うのだから、同じものを求めようとは思わないが、タラントにはタラントの息づく感覚が ある。内側に思いをじっくりとためているのはよくわかるのだが、そのエネルギーを最終的には外に放出さなければ! 実力いは十分! もう一つ開き直って、 自分の殻を打ち破ることが必要かも。○(西脇)


22
.堅正はるか(アレグリアス)

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振付はしっくりくる。無理していない点はマル。だが、身体作りにやや未熟な点があり、随所に詰めの甘さが見られる。そのため、肚から湧き出てくる感じに乏 しく、引きつける要素が薄くなっている。まずは身体作り。感情を表現する土台をしっかりすれば、出てくるものも違ってきます。(菊地)

●硬質なアイ レ、粋な感覚が素敵。パワーもあるのだが、それがもっとフラメンコ舞踊的な表現で表に出てくるとよい。身体はよく動いているので、細部をもっと厳しくきっ ちりと。いいものはたくさん持っているのだが、踊り込みがまだ足りないと見えて、いかんせん薄っぺらな印象がぬぐえない。さらに精進を!(西脇)


23
.伊部康子(ティエント)

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舞踊的には格段に進歩のあと。上手くなった。だが、何か説得力に欠ける。振付が消化できていないのか、らしさがなかなか出てこない。このままでは、いわゆ る"群舞の人のソロ"になってしまう。無難なだけの踊りになってしまう。どうしてもこう踊らなければならない!というものが強烈にないと。才能はとても感 じる。精進![A'(菊地)

●昨年より グッと大人っぽい雰囲気でソレアのニュアンスをよくつかんでいた。歌やギターをよく聴いて、身体が動いているのが分かる。細部のテクニックもしっかりして いた。だが、肝心の重心がいま一つ定まらず、重みがたりない。軸が固いのだろうか、ブレはないのだが、突っ立って踊っているように見える。体幹を鍛え、上 半身というか胴体の表現力をぜひ身に付けてほしい。それだけで格段に良くなる人だと思う。小○(西脇)


24
.助川しのぶ(アレグリアス)

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上手い!けれど惜しいかな、決め手に欠ける。見せ場がもう少しほしかった。アレグリアスでコレをやりたい!ということを、自分にしかできないこと、好きな ことを、もっともっと貪欲に探してほしい。沢山ピックアップして、沢山やってみて、そこから厳選して、やる時はほんのちょびっと。ピカッと。これで心はグ グッと傾くのです。[A(菊地)

●舞台に登場 した途端、花が咲いたようなインパクト。流行りの、頭の中央部分に付けた大きなペイネタもよく似合っていた。だが、リズムにはよく乗っていたと思うが、身 体の使い方が甘い。フラメンコは柔軟性やアクロバティックな動きを競うものではまったくないが、自分の身体を、ギリギリのところまで使いきることは必要。 それが、強さやキレを作る。ひねりが中地半端です。後半どんどんよくなっていき、表現力も出てきた。助川さんだけではないが、後半良くなる人が随分とい た。踊り込むほどに緊張が解けてくるからだろうが、もったいない。頭からガーンといかなきゃ! 多くの人に克服してほしい課題。(西脇)


25
.内田好美(ソレア・ポル・ブレリア)

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振付・構成は良かった。しかし、緊張していたのか、時折、身体がぐらついていた印象。ブエルタに少し難あり。浮き足だっていた感じがする。基本的には理解 も深く、筋の良い踊り。持っているものを全力投入してもぐらつかない身体を作ってほしい。踊りがもっと大きくなるし、深いものが表現できるはず。[A (菊地)
パワフルに一気に踊りきった印象。ただ力が入りすぎるときがあり、はいりすぎるとその分遅れる。ポイントポイントはカッコよく決めてい るのだが、細部はかなり荒っぽい。内からにじみ出てくるアイレがあるので、とてもいい味が出る瞬間がある。細部をもっと丁寧に、きめ細かく踊り込んでいっ てください。(西脇)

 
26.阿部和子(ソレア)

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ほわぁ、何というソレアだろう!もう本当にどーんとそこにいて、カンテを感じているのが伝わってくる。痛みが波のように押し寄せてくる。耐えている美しさ に圧倒される。そして母のように温かなしぐさ。王道です。ソレアです。大舞台でたいして動きもせず、これだけの表現ができるというのはすごいこと。感無 量。奨励賞に推すことはしなかったが、個人的には心から感動できた踊りでした。ありがとう![特A(菊地)

●ツメツメで ない振りを思いっきり踊っていた。所どころで、パワーを外に放り出すような振りが出てきたが粋でカッコイイ。後半、表現力が増して、最後まで新鮮な気持ち で見られた。身体はあまり出来ていないと見受けたが、踊りにスケール感、迫力がある。しっかりフラメンコの身体を作ったら、大きく化ける予感。楽しみで す。○(西脇


27
.永田健(シギリージャ)

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シギリージャの緊張感が持続して、とても良い。何といっても格好良い。これは大きな魅力のひとつ。難を言えば、見せ場が足りない。あれこれやってほしいの ではなく、技の精度をもっともっと上げ、さらに技を入れ込むタイミングやら順番やらに工夫がほしいのだ。できるよ絶対。[A(菊地)

●去年とは見 違えるほどの上達ぶり、基本的な身体づくりに精進されたのであろうその大きな変化に感動した。ただ、上手くなった分、去年の個性、独特の味わいはなくなっ らた。とてもバランスの取れた、オーソドックスに上手い踊り手になっていた。それは、プロの踊り手としてやっていくための基本の準備が整ったところ、今年 の段階を私はそう解釈する。徹底的に技術を磨いて、本当に上手い踊り手になるのか、基本ができたところで、もう一度自分の好きなフラメンコと向き合うの か、永田さんの前には今二つの道があると思う。来年の永田さんがどんな踊り手になっているのか興味あります。来年もぜひ挑戦してください。 準奨励賞。小 ○(西脇)


28
.廣岡理恵(タラント

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●どことなく 漫然と踊っている印象。自分の身体が発しているものにもっと敏感に、厳しくあってほしい。人の動作が他人にどんな感覚を与えるか、人の感情が他人にはどう 伝わっているか、よく観察してみるといいかも。たとえば本当に怒っている人は、怖い目つきをしながらも、ぐっと唇を引き結んで黙って身動きせずにいたりす る。感情が激すると手が震えてくる。そんなところにも表現の糸口があると思います。身体の中に沢山の重いものを抱えて踊ってください。(菊地)

●パワーあり ちょっと土の匂いもする。フラメンコ舞踊のニュアンスはつかんでいるというか、器用に振りや所作をこなしていて、決まる時もあるのだが、基本ができていな い。つま先に体重をかけ過ぎで、いつも前のめり、下を向いている。キメの瞬間はカッコよくきまっているが、途中の振りが甘い。マノにももっと力と思いを込 めて。自分が感じるフラメンコっぽいところにだけ意識が向いている感じ。いいセンスをしていると思うので、じっくり取り組んでください。(西脇)


29
.吉田智宏(アレグリアス)

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とても楽しいし、面白い!粋というより野暮に近いんだけど、そこに味があって、もう本当に大好き。笑ってしまって顰蹙買ったけど、私にしてみればアレグリ アスで笑うのは讃辞なのよ、許して。ただ踊り手として難がひとつ。背中に隙があるので、ブエルタした時に格好悪いし、後ろを向いた時に説得力が失せる。背 筋鍛えて、この路線をぜひぜひ突き詰めてほしい![A'(菊地)

●誰の振付 だったのだろう。多種多様な振りが詰め込まれたユニークな振付をよく踊りきったと思う。だがあれだけの振付を踊りこなすには、相当の実力が必要なのも事 実。斬新奇抜な振りが説得力を持つには、その人のフラメンコ的内実とその振りを踊ることの必然性を感じさせられるかどうかにかかっています。そこは、正直 まだ弱い。振りをこなすのではなく、振りという器に内から溢れ出る何かを注ぎこまなければ! それにはまず、フラメンコの、フラメンコ舞踊の、そしてあな たという人間の基礎力をつけてください。無謀とも思えるこういう挑戦、私は好きです。来年もぜひチャレンジを。小○(西脇)


30
.浅野直子(タラント)

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上手い。舞踊としてもフラメンコとしてもかなり良い感じ。しかしそつなく踊ってしまうので、意外性に欠け、見ているほうは感動から遠のいてしまう。構成の 問題というより、振付の一つひとつに説得力が足りないのだと思う。どこで自分の内面が出るのか、壊れるかもしれないところまで自分を追いつめて、技に昇華 してください。[A'(菊地)

●パワー全開 で踊るその意気込みは素晴らしい。だが、音楽のテンポに身体がついていけない部分がときどきあった。要所要所はカッコよく決まる振りがあるのだが、途中を はしょって踊っている感じ。カッコよく踊ることよりも、丁寧に踊り込んでいくことをまずは心がけてほしい。(西脇)


31
.山中純子(シギリージャ)

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基本的には悪くないのだけど、なかなかビシッと決まらない。全体に動きが硬く、力で踊っている印象だ。そのため緩急も感じられず、身体の中から湧き上がる もので踊る風情にはなかなか至らない。身体が硬いなら硬いなりに、それを生かす工夫が必要。力を抜くところを上手く入れれば、硬さだって武器になる!(菊地)

●パワーはあ るのだが、バタバタ慌てて踊っている感じ。ゆったりした振りの部分ではとても落ち着いた雰囲気を持っているのに残念。もっと自分の個性、技量にあった振り で踊るべき。技術はかなりしっかりしていると思うが、いかんせんテンポが速く汲々とした印象。そのせいもあるのだろうが、もう少し重心を下げ、腰を決め て。(西脇)


32
.岡田麻里(ソレア)

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抑制が利いていて、感じて踊っているのがとても良い。期待して観ていたが、ああ残念、見せ場に欠けた。感じて踊る風情だけで見せるには相当な覚悟と度量が 必要で、そうでないなら、見せる要素を考えないと。振付・構成を再考し、懸ける一瞬、「ここぞ!」ってところに磨きをかけて![A(菊地)

●小さい身体から溢れるパワー、小動物みたいなチャーミングな野性の匂い。身体もよく動いているが、マルカールを流さないで! いいセンスを持っている人と感じたので、もっと基本にじっくり取り組んでください。(西脇)


33
.山崎愛(ソレア・ポル・ブレリア)

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●身体の中にいっぱい詰まった良い踊り!フアン・ビジャールJrのカンテに負けていないのも素晴らしい。小柄なのかもしれないが、大きく見える。ソレポルの良さを知らしめてくれた今回3人目で、自分らしさを持って踊った数少ないうちのひとり!ただ、私としては、この演目ならもう少し足の面白さを深く追求してほしかったな。頑張れ頑張れ、あと一歩![A(菊地)

●身体の中からコンパスにのってパワーが溢れでてきた。気風のいい鉄火肌なアイレ。何より身体が歌っているのだ。生き生きとした命の鼓動が力強くコンパスを刻む。フラメンコの楽しさに溢れた、とびきり活きのいいバイレに、私の身体がうれしくて反応した。オレ! 私が今年一番感動した二人のうちの一人。準奨励賞。◎スペシャル(西脇)


34
.小林アントニオ(ソレア)

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●面白いなあ。間違いなくソレアだし、知っている振付も随所にあるのだけど、違うものに見えるぐらい不可思議な動き。勘所を押さえているし、非常に個性的なので、観ていて飽きない。ただし、もう1回観たいかと言われると疑問。おそらくまだ自分のものになっていないのだと思う。それでも才能を感じる。華がある。今後に期待![A'(菊地)

●自然なマ チョさとユニークな個性が魅力。存在感ある。だが、力が入りすぎて動きが固い。自分なりのスタイルというか踊りたいイメージを持っている人と感じたが、そ れを表現できる身体にまだなっていない。とてもこなれた動きもたびたび出てくるので、フラメンコ的感覚は身についている人のように思う。さらに身体づくり を。期待度大。(西脇

 

アクースティカ倶楽部

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アクースティカ倶楽部は、仲間とともにフラメンコの「楽しさ」を追求する、フラメンコ好きのためのコミュニティです。