11月2日、セルバンテス文化センター東京主催ギター・コンクールが行われた。
応募人数は全16名。当初は録音で一次審査が行い、8名の決勝進出者が選ばれ最終選考へと進む予定だったが、この日、応募者全員が出場、演奏しての決選となった。
さて、初開催のこのコンクール、まずはどんな方人たちが出場すのかが注目だったが、出場者の中には、日本フラメンコ協会主催新人公演出場者として見覚えのある人もかなりいて、ベテラン一人をのぞいては、プロ・アマを問わずまさしく新人たちの挑戦となった。


ギター一本での演奏を聴くには会場は程良い大きさで、PAは入っていたが、生音に近くあまり加工されていない音。音量も大き過ぎず演奏者のタッチの強さがそのまま感じ取れたのが、とてもよかった。演奏者にとってはごまかしのきかない厳しさがあったと思うが、演奏を聞き比べるのに適した環境づくりがなされていた。
結果は以下の通り。
優勝  江戸裕 
第2位 木南利夫  
優勝した江戸さんは、今年夏に行われた日本フラメンコ協会主催新人公演の準奨励賞受賞者。演奏したのは新人公演の時と同じくソレアだ。フラメンコの伝統をしっかり継承した演奏スタイルで、ギターの音色にフラメンコを感じた。
二位入賞の木南さんは、芸歴ウン十年のベテラン。もう20年以上も前に行われた第2回コンクルソ・デ・アルテ・フラメンコ東京の3位入賞者でもある。私ごとだが、実はこの日は透析の日で、コンクールのスタートに間に合わず、最初の出場者2名の演奏は聞けなかった。なので2番目に演奏した木南さんの演奏は聞いていない。超残念! 
結果は、全員の演奏が終わったあと約5分の休憩をはさんですぐに発表された。
演奏と同時進行で審査の集計は進められていたわけだ。
2人の名前が発表されると、会場は大きな拍手に沸いた。
江戸さん! 木南さん! おめでとうございます!
日本フラメンコ協会主催の新人公演には、ギター部門がもちろんあるけれど、フラメンコギターだけの、しかも"コンクール"という形での開催は、本当に久方ぶりだった。ギターファンの関心はやはり高かったようで、客席を見渡すと、古くからのギターファンと思われる熟年男性の顔がそこここに。
5人の審査員が最前列にズラリ並んで演奏を審査。審査員には、各出場者の演奏前に選考結果を記す用紙が配られ、演奏が終わるたびに回収、という方法で、審査は行われた。
審査員の一人、堀越千秋さんによると、選考基準として、1.曲の難易度 2.テクニック、3.ドェンデ、アイレといった表現力、の3つの項目を設定し各項目ごとにAからDの4段階で審査。その累計点で優勝者と第2位入賞者が決められたという。
優勝者には、スペインのギター会社マヌエル・ロドリゲス・エ・イホスより、ノルマン・Jr・フラメンコギターが、また2位入賞者には、セルバンテスの受講権が副賞として贈られた。
濱田滋郎さんやセルバンテス文化センター館長のアントニオ・ヒル・デ・カラスコさんら5人の審査員の中には、ジャンルを超え多様な音楽シーンで活躍する当代きってのフラメンコ・ギタリスト沖仁さんの顔もあった。沖さんに、感想を聞いた。
「全体のレベルの高さにびっくりしました。もっとも審査員と聴衆を目の前にしての演奏ですから、中には緊張して思うように弾けなかった人もあったかも知れませんね。そんな人へのアドバイスを一つだけ。あの場に居たのは一人残らず、フラメンコギターが大好きな、仲間達です。結局みんな、オレ!をかけられる瞬間を待っているだけなんです。(それが心の中のハレオだとしても。)出場された皆さんが、ますます素敵なギタリストとなられることを楽しみにしています。」
フラメンコギタリストにとって数少ない挑戦の場であるこのコンクール。その意義は大きい。ぜひ、来年以降も継続して開催されることを願う。

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