石塚隆充さんの２作目のソロアルバムのタイトルは「レボルシオン」、すなわち「革命」だ。このタイトルを初めてみた時、「石塚さんらしからぬネーミングだなぁ」と、一瞬私は思った。彼は、声たかだかに何かを叫ぶタイプのアルティスタではないと感じていただからだ。この作品には彼が日本語で歌うフラメンコ曲がなん曲か収録されていて、そのことを彼は「革命」と名づけたのだと思う。それにしても......。
これまでも日本語でフラメンコを歌うという試みは、度々行われてきている。それが定着したという地平にははなはだ遠く、今も殆どタブーの領域ではあるが。
このタブーの領域に、正統派カンタオールとして日本人カンテの最前線を走ってきた石塚さんが、あえて足を踏み込んだ。それは日本人でありながらカンテを歌うことの意味を真摯に問い続けてきた彼の、アルティスタとしての生き方そのもの選択、決意でもあったに違いない。ここまで考えが至った時、彼らしからぬ「革命宣言」にこめられた彼の決意の重さに、私はきづいたのだった。
閑話休題。
皆さんは日本語で歌うフラメンコに興味ありますか？
それとも、そう聞いただけで、引いてしまいますか？
フラメンコがアンダルシアの地で育まれたものであり、
その要たるカンテは、
分かちがたくスペイン語と結びついたものであるということは、紛れも無い事実。
そこに疑問の余地はありません。
でも...。
ここは日本で、私達の言葉は日本語です。
音楽は国境を超えるたくましさをもっていますが、
それでも言葉の壁は大きく立ちはだかります。
もっとストレートに、自分の思いを伝えたい、
自分の歌う世界を、もっと観客に届けたい、
歌い手がそう願うのは至極当然の事だと私は思います。
ロックもジャズもシャンソンでさえも、日本語で歌われない（あるいは日本語で歌うことをタブー視する）時代がありました。
しかしそのジャンルが人気を得、普及するに従って、
日本語で歌うという挑戦がなされたのです。
そして日本語で歌われることによって、さらにファンを広げっていったのです。
あまり難しく考えるのはやめましょう。
フラメンコをもっと自然に、もっとフツーに、もっと日常感覚の中で楽しみたい、
そういう気持ちになることはありませんか？
だったら案ずるより生むが易し。
日本語カンテを聞いてみましょうよ！ 歌ってみましょうよ！
はい、ようやく本論に入ります。
来る８月５日、アクースティカ３０周年イベント「アルティスタが道案内するフラメンコのもう一歩奥へ」Vol.5が開催されます。
テーマはズバリ、「日本語フラメンコの可能性」
ゲストは石塚隆充さんです。
今回聞き手には、美術家でありながら自身もギターを弾くアフィシオナードである若林雅人さんにお願いしました。若林さんは、もう２０年近く前から日本語フラメンコの可能性を説き、日本語フラメンコポップスのCDまで発表されています。
「フラメンコ好きな日本人がこれだけ沢山いるのに、みんなで歌ったり、歌いたくなる日本語フラメ ンコがほとんどないのは、とても不思議な現実だと思います。今のところ、日本でのフラメンコはスペインのアルティスタたちへの敬意と 憧れで完結しているとも言えるかもしれません。このイベントでは、50年以上前から始まる日本語フラメンコの音源 を聴いてもらい、現在、日本を代表するカンタオールである石塚隆充さんの歌や考えを聞きながら、今後の展開や可能性を皆さんとも話し合いたいと思 います。舞台とは異なるリラックスした会場で、ぜひ一緒に楽しみ ましょう」と若林さん。
さて、どんな展開となるのか、楽しみです。
そして、このイベントサブタイトルは「TAKAが歌う、あなたが歌う」です。
日本語フラメンコを実際に聞いて、一緒に歌って、
まずは体験してみましょう！
果たしてその時、あなたの心は何を感じるでしょうか？
では、いつものようにワイン１杯ご用意してお待ちしています。
■詳細情報
アクースティカ３０周年記念イベント
～アルティスタが道案内するフラメンコのもう一歩奥へ～
Vol.5 日本語フラメンコの可能性～TAKAが歌う、あなたが歌う～」
ゲスト 石塚隆充 聞き手 若林雅人
日時 8月5日(火) 19：00スタート 18：30開場
場所 スタジオ・カサ・デル・アルテ（スペイン舞踊振興ＭＡＲＵＷＡ財団のスタジオ）地図
参加費 予約2000円（当日2500円）※ドリンク1杯サービス
予約申し込み https://ssl.form-mailer.jp/fms/97b6b8d3301373
または電話０３－３４７３－５６７８、メールinfo@acustica.jpにてアクースティカまで
