ラメンコギタリストとして、
ユニークな活動をしてきた渡辺イワオさん(以下敬称略)。
若い踊り手や歌い手たちと組んで
フラメンコ舞踊劇団として上演活動したり、
神保町のレストラン
「オーレ・オーレ」のフラメンコショーを全面的にブッキングする
(現在はコロナの影響でショーは休止中)など、
ギタリスト=一伴奏者として活動する人が多い中、
独自のキャリアを築いてきた。
そんな彼が、
現在も進行中のコロナ禍ただ中で、
初のソロアルバム
「bailable〈バイラブレ〉」をリリースした。


zoomではあったが、
そんな彼と話久しぶりに話をする機会を得た。
渡辺イワオ.jpg「仲間と一緒に作るフラメンコが好きで、
ライブ演奏を信条としてきた」という渡辺。
昨年春以降、コロナの影響で
ライブはことごとく中止となり、収入も激減。
先の見通せない中、
想定外に手に入れた時間を使って
アルバム制作することを思い立ったという。
その直前に、ある店での
定期的なギターソロ演奏の仕事を依頼され、
ソロ演奏の奥深さや醍醐味を
感じはじめていたことも彼の背中を押した。
制作資金は、
アーティストのための公的な活動支援金を申請して充てた。
録音制作を手伝ってくれる仲間もできて昨年秋には収録を開始。
だが、いざ始めてみると、
録音の機材選びから音作りにいたるまで、
様々な壁が立ちはだかった。
生演奏にこだわってきたから、
録音に関するノウハウはほとんどなかった。
手探りでの挑戦だったが、
録音の難しさがわかるほどに
その面白さにも気づかされ、
納得のいくアルバムづくりに
のめり込んでいった。
最終的には録音環境をすべて作り直して、
完成に至ったという。
CD.jpgそうして出来上がったCDに収められたのは、
ソレア、アレグリアス、タンゴ、ブレリアなど
オリジナル曲4曲とカバーが一曲の全5曲。
私の一番のお気に入りは
ラストのブレリアで、
波のようにうねるノリが心地いい。
一方かなり自由な発想で作られたであろうソレアは、
そのトライアルを評価するか、
ソレアの様式美に物足りなさを感じるかで
評価のわかれるところか。
「いわばこれまでの僕の集大成といえる一枚になりました」と渡辺。
「CDを作りたいと思ったことなんて
watanabe これまで一度もなかったんですよ、実は(笑)。
でもチャレンジしてみて、
ようやく技術的なこともわかってきて、
録音の楽しさも知っちゃったので、
またいつか挑戦したいですね」とも。
もう10年以上前になるだろうか?
新人公演のギター部門に彼が出ていた時の
荒削りながら音圧のある
野太い音色に好感をもった私には、
うしても彼に聞きたいことがあった。
その時の印象と、
CDから流れてきたギターの音のテイストが、
洗練、繊細の方向に変化したように感じたからだ。
「フラメンコとの向き合い方が、求める音が変わったのですか?」
すると、きっぱりとした彼の答えが返ってきた。
「うーん、変わってないと思いますよ。
僕はフラメンコのライブにありがちな
観客がみんなフラメンコ関係者みたいなライブには関心がないんです。
まだフラメンコを知らない、フラメンコの世界の外にいる人たちに
聞いほしい。
だから、好みというか、
いわゆるプーロ志向だったことはないかもしれませんね。
エンターテイメントとして幅広く届けていきたいんです」。
いやいや、イワオ君!
今回のCDも、舞踊劇団の作品の時でさえ
あなたは、かなりがっつりフラメンコだよ。
フラメンコから大きな世界を見渡したいと
きっと考えているのだろうけれど、
私には逆に
意識しなくとも出てくる
イワオ君の内なるフラメンコ性、
フラメンコへの共感が、
ぷんぷん匂ってくる。
そんな彼の個性が、
彼の望み通り、
エンターテイメントとして大きく花開く日を
楽しみにしたい。
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