IMG_0045.JPGセビージャの大聖堂の横にある世界遺産、アルカサル。12年前、初めてフラメンコ・フェスティバル「ビエナル・デ・フラメンコ」の公演をみたのもこの場所でした。その日はセビージャの大御所バイラオーラ、マティルデ・コラル(Matilde Coral)のオメナヘ(オマージュ)公演。それまで写真やビデオで毎日のように見ていたアーティスト達が続々と目の前に現れ、初めてなのに初めてと思えない、何とも不思議な気分になったのを今でも覚えています。

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 第17回となった今年のビエナルの初日は、バイラオーラ、マヌエラ・カラスコ(Manuela Carrasco)の舞台「Raice de Ebano」("Ebano"とは黒檀の木。ギターの指板にも使われている素材です。"Raice"は"根")ギリシャ神話の4人の女神(アンティゴーネ、ヘレネー、アリアドネ、メデア)をモチーフに、バイレフラメンコの女神と呼ばれているマヌエラが各場面ごとにカンタオールを変えて踊りました。カリスマ、荘厳という言葉がぴったりくる存在感。幻想的なアルカサルをバックに、神話の世界にいるような...しかし、ギリシャではなく、アンダルシア。出演者たちの褐色の肌、力強いギター、そしてマヌエラのバイレはヒターノ独特の表現方法で女神の姿を描き出しました。カンタオールはいずれもマヌエラと縁の深いベテランたち。中でもエル・ペレ(El Pele)の、"いぶし銀"ならぬ"いぶしブロンズ"なカンテに、会場からは多くのハレオがかかっていました。(写真はマヌエラ・カラスコとパンセキート(Pansequito))

そして二日目。前日と同じアルカサルで、今度は古楽バロック音楽とフラメンコの出会いがありました。前回、リハーサルの様子を少しお伝えした、セビージャのバロック音楽グループ"アカデミア・デ・ピアチェーレ(Accademia del Piacere)"とカンタオール、アルカンヘル(Arcangel)のコンサートです。ビオラ・ダ・ガンバという楽器(チェロよりも小さく、バイオリンよりも大きい弦楽器)を中心としたバロックチーム。カンテ、ギター、パーカッション、パルマそしてバイレのフラメンコチーム。アルカンヘルとソプラノ歌手の歌声がこの2チームを見事に結び付けていました。、リハーサルで見た「ハレオ」では、予想通りバイラオーラのパトリシア・ゲレーロ(Patricia Guerrero)が鮮烈な踊りを見せてくれました。久しぶりにぞくっとする感覚が走るほど。続く、シギリージャ、グアヒーラでも表情をがらりと変えて見事にコンサートに花を添えてくれました。若い彼女が、今持っている最高のものを大勢の前で堂々と出し切れる度胸と自信。その源は一体なんだろうと、興味をそそられたバイラオーラです。IMG_0465.JPG

ギリシャ神話とフラメンコ、ルネッサンス・バロック音楽とフラメンコ。セビージャ、アルカサルは、時を超えて芸術・文化の出会いの場となりました。

FOTOs 舞台写真:Antonio Acedo / その他:Makiko Sakakura

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