セビージャのビエナルも第一週目が終わろうとしています。今ビエナル最初のマエストランサ劇場での公演は、アンダルシアフラメンコ舞踊団(Ballet Flamenco de Andalucia)。ル―ベン・オルモ(Ruben Olmo)率いる舞踊団にパストーラ・ガルバン(Pastora Galvan)、アントニオ・カナーレス(Antonio Canales)が加わり、二作品が公演されました。(上写真:「Llanto~」より。中央はパトリシア・ゲレーロ(Patricia Guerrero))
一作目「Metafora Flamenca」では、パストーラ・ガルバンがタンゴ・デ・グラナダを始め、魅力全開。舞踊団となるとバイラオーラたちも背格好や年齢が何となく統一されていますが、そんな彼女たちとパストーラが一緒に舞台に立つと、ソリスタとして個性を確立したアーティストのもつオーラをより強く感じました。(右写真:パストーラ・ガルバンとルーベン・オルモ)
2部は闘牛士イグナシオ・サンチェス・メヒアスの生と死を描いた「Llanto por Ignacio Sanches Mejias」(左写真)。彼と交流のあった詩人ロルカをルーベン・オルモが、メヒアス役はアントニオ・カナーレスです。文人としても活躍し、引退後華やかな生活をしていたメヒアスが一瞬にして死という暗闇に落ちる。Llanto-嘆き。メヒアス、そしてその死の予兆を感じ、それを現実のものとして目の当たりにしたロルカの嘆きが伝わってくる作品でした。
アルカサルでの芸術の出会いシリーズの最後は北インド古典舞踊のカタックダンスとフラメンコで「Las Huellas」。双方の名門ファミリー、ミシュラ家とファルーコ家の競演です。カタックダンスは、靴の代わりに足首にグングルという鈴を巻いて踊りますが、足を踏み鳴らして踊ることから、フラメンコのルーツともいわれています。そして音楽も弦楽器、打楽器、そして、フラメンコカンテのケヒオ(歌詞ではなく声だけで旋律を歌う嘆きや心の叫びのような歌唱)に通じる歌。故ファルーコも興味をもっていたそうです。残念ながら父アルジュン氏が欠席となりましたが息子のアヌジュ(Anuj Mishra)が豪快なサパテアードと連続回旋で会場を沸かせました。
ファルーコ家からは、エル・カルペタ(El Carpeta)が真っ白なスーツで颯爽と登場!4カ月前に見た時よりもさらにまぶしいオーラを発して、観客を惹きつける魅力的なバイラオールになっていました。カタックダンスの女性舞踊手との絡みもそつなくこなし、柔軟な感性を感じさせてくれました。そして、ファルーカ(Farruca)。父ファルーコの面影を年々強く感じさせるその姿。彼女の場面は、フラメンコ一色。他の何物の介在も許さない強さと迫力のバイレで締めくくりました。
(写真右:エル・カルペタとペドロ・エル・グラナイーノ(Pedro El Granaino)-左:ファルーカ)
FOTOS por ANTONIO ACEDO