1996年当時、
スペインの首都、
マドリッドでの留学生活の続き。
私は午前中が語学学校で、
午後は踊りのクラスを2つとっていた。


でも、それは少ない方で、
日に5クラスくらいとる人もたくさんいた。
通っていたスタジオは、
『アモール・デ・ディオス』
大小いくつもの貸しスタジオあり、
午前中から夜まで
いろんな先生の教室が開かれている。
生徒たちはみんなかけもちしている。
クラスをはしごしている。
そこに通う彼、彼女らの間に、
緊張感や競争心を感じた。
日本の予備校のような雰囲気があった。
実は初めて訪れた日、
扉を開けたとたん、瞬時にすぐ閉めた。
その雰囲気がすごく怖くって。
つまり、その日にはスタジオに入る勇気が出なかった、
という経験がある。苦笑。
実際、ここには半年ほど通ったが、
結局あまりよくは馴染めずで
週に1回くらいは
行けない理由を見つけては休んでいた。
また当時の連載記事を読んでみようか。
(以下、斜め文字はパセオフラメンコ1996年6月号から引用)
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ある金曜日の夜中。
ペーニャ・フラメンカ(フラメンコ愛好会)
でシギリージャを聞いている間中、胃が痛む。
きっと半日何も食べていなかったからだと思い、
食べ物を口にするが治らない。
翌朝になってもまだ痛む。
空きっ腹にビールを飲んだせい?
文法ができなくて先生に怒られたせい?
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(当時は髪短かった)
それから2週間ずっと痛かった。
聞くと胃痛を経験する人は少なくないらしい。
外国暮らしなんてしていると、
知らず知らずにストレスが溜まって
神経性胃炎になったりする。
日本じゃ胃痛とは無縁だった私もしかり。

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もしかしてガンかも、
とか真剣に心配した。
外国だからお医者さん行くには度胸がいるし。
基本、我慢してましたね。笑。
扉を閉めた件もそうだけど、
結局、私ってかなり怖がりなのね。
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そういえば、こっちへ来てから、
ただ道を歩くときでも、スリはいないか、
この通りは安全か、車は暴走してこないか、と気をつかう。
スリ、ひったくりの話をどれだけ耳にしたことか。

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ここ田舎町へレスに暮らす私にとっては
今現在でも、都市マドリッドは緊張させられるところ。
最近は、日本も治安が悪なったとか聞くけれど
ひったくりに注意しながら歩くほどではないでしょ?
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その上、言いたいことが言えない、
何を言っているのかわからない、
という言葉の不自由さ。
そして踊りのクラスに行けば
自分の未熟さを思い知らされる毎日。
めちゃめちゃ上手い10歳くらいの
練習生とかいるからね。
こんなにたくさんの問題に耐えうるほど、
私の胃の皮は厚くなかったみたい。

だけどスペインじゃ誰も解決してくれないし、
誰も痛みを止められない。
自分で治す以外にないのだ。
風邪をひいたから薬を飲む、
酔っ払ったら友達に送ってもらう、
じゃなくて
ひかないように、
泥酔しないように自分で気をつける、
自己管理が必要。
日本では、
ぼーっとぬるま湯に浸かったような生活していた私にとっては、
これが大変難しいのだ。
スペインではぬるま湯に浸かってはいられない。
30分湯船で鼻歌を歌っていた環境から、
たった5分のシャワーのみという生活へ。
(しかも途中で水になったりするのよ)
人生お湯あれば水あり、です。
厳しい!

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今でこそ、
スペインの自宅で湯船に浸かるのは
年に数えるほどだけだけれど、
当時は物足りなかったよねぇ。
体がポッカポッカしたまま寝床につく
っていうのが恋しかった。
海外でシャワー生活といえば思い出す、
私が中学になったらアメリカに夏季ホームステイできるようにと
当時母親がお金を貯金してくれていた。
その説明会があって、
アメリカの習慣についてのお話を聞いた。
「シャワーを浴びた後は、
排水溝にある髪の毛をとって綺麗にして
次の人が気持ちよく使えることが常識で。。。」
ということ。
湯船にお湯を溜めないの!?
毎回掃除するの!?
小学校高学年当時の私は
シャワーだけで済ます夜はなかったし、
ましてや
自分で排水溝の髪ゴミを
掃除したこともなかったので、
こんなことでも大きく動揺してしまい、
母に頼んで留学は取りやめてもらった。
いやはや臆病なのは昔から。
それと、もう一つ慣れちゃった習慣は
家の中まで靴で上がっちゃうこと。
これも、もうなんとも思わない。
どころか、スペインの自宅で靴を脱ぐという図は
頭に全く浮かんでこない。
先日へレスの家にオーストリア人の親子が来た。
その外人が、なぜか入る前に靴をぬいてくれた。
「いいのよ、そのままで」
と言ったけど、それでも脱いでくれるので、
「ふーん、変な人たち」と心で思った私がいた。笑。
異文化に対して臆病な者も
20年もかければ変わるもんだね。
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「お気に入りのヘレスの自宅」
父には、
「お前はもう日本人じゃない、恥ずかしい」
とたまに言われる。
なんとなく分かるが
変わってしまった私には
何が恥ずかしいのかがよく分からない。
主人のニコラは
「君は本当に日本人だよなあ」
なんじゃあ?
私は日本人なのか日本人じゃないのか!
変わってしまった私には
もう分からない。
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