日本は、フラメンコの大きなマーケットのひとつだ。
だから日本に「稼ぎに来る」スペイン人アルティスタは大勢いる。
日本人と結婚をし、日本に住み着いて活動するアルティスタも少なからずいる。
踊り手のベニート・ガルシアもそうしたアルティスタの一人だ。
ただし、彼の存在のありようは、明らかに他のスペイン人アルティスタ達とは一線を画している、と私は感じている。
フラメンコを愛する日本人にとって、スペイン人アルティスタは、ただそれだけで特別な存在だ。だから当然のごとく、日本にいるスペイン人アルティスタは、スペイン人という「特別枠」の中で生きている。
ベニートが他のスペイン人と違うのは、この「特別枠」に収まっていないからだ。
彼は、日本に稼ぎに来ているのではない。
彼は日本を自らが生きて行く場所として選んだのだ。
日本に移り住んで15年。
プロフェッショナルなフラメンコ舞踊教師として
日本の地にフラメンコの種をまくことが
自身の使命であり夢であると決意した彼の
日本のフラメンコへの視線は、とても深く、鋭く、温かい。
フラメンコ・アルティスタとして生きるということは、
スペイン人である彼にとっても、決してたやすい道ではなかった。
因みに彼は、ヒターノではない。
だから、当たり前に彼の生活の中にフラメンコがあったわけではないのだ。
たまたまヒターノ居住区の近くに住んでいて、
ヒターノ達のカジェのフラメンコを身近で見て育ったのだ。
両親からは、彼らには近づくなと、釘を刺されていたという。
それでもフラメンコを選んだベニート。
あえていうがフラメンコはヒターノだけのものではない。
アンダルシアの大地と文化に育まれたものだ。
だがしかして、ヒターノとパジョとの二重構造がフラメンコには歴然とある。
方や、
全くの異文化であるフラメンコを選んだ(愛してしまった)日本人。
そして異国だからこそやもしれず、ヒターノへのより強い憧憬が、日本人にはあるようにも思う。
日本人がフラメンコと向き合うことは、
自分が何者かと問われ続けるようなものだ。
果たして、ベニートの目に
日本の、日本人のフラメンコは、どのように映っているのか?
日本の地で、真正面から日本のフラメンコと
日本人と向き合って生きているベニートに
忌憚のない彼の意見を、聞いてみたいと思う。
■アクースティカ設立30周年記念イベント
≪アルティスタが道案内するフラメンコのもう一歩奥へ≫
Vol.2「スペイン人が語るヒターノと日本人との距離」
ゲスト/ベニート・ガルシア 聞き手/西脇美絵子
日時 5月27日(火)19:00スタート 18:30開場
場所 スタジオ・カサ・デル・アルテ(スペイン舞踊振興MARUWA財団のスタジオ)
参加費 予約2000円 当日2500円
≪予約申し込み≫
席数に限りがあるため参加には予約が必要です。予約お申し込みは電話かメールでアクースティカ迄。
電話03-3473-5678 E-Mail:info@acustica.jp
メールで申しむ際には、①氏名 イベントタイトル 参加人数 連絡先電話番号を明記し、件名に「クースティカ30周年イベント申し込み」と記入して送信してください。