去る10月にフラメンコフェスティバル・イン・東京のプレイベントとして東京のど真ん中、丸の内ビルで開催され大きな話題を集めた日本初の大規模フラメンコ・フラッシュモブ。あれから2カ月余りを経た11月23日、今度は会場を代々木公園に移し、フィエスタ・デ・エスパーニャの関連イベントとして、またまた全国から集まった百名近くのフラメンコたちによるフラメンコ・フラッシュモブが行われた。
この日は、ソロ・パートを踊り手のSIROCOと三枝雄輔が担当。音楽もカンテ有田圭輔とチャノのギターというなんとも豪華な布陣となり、生演奏での初のフラメンコ・フラッシュ・モブが敢行されたのだった。
フィエスタ・デ・エスパーニャの何万という来場者が行きかう中、15時過ぎに本部テント前の一角でパフォーマンス(セビジャーナス)は突然始まった。
日本を代表する人気バイラオール二人のソロからはじまったのだが、あっという間に人だかりができ、つづく群舞パートはその人垣をかきわけるように踊り手たちが2グループに分かれて登場。
1グループは人垣の輪を押し広げるようにして踊りのスペースを確保し、もう1グループがその輪の中で踊るという段取り。2番が終わったところで、グループが入れかわってのパフォーマンスとなった。
参加者はこの日初顔合わせなのだが、練習なしのいきなり本番をもろともせず、皆軽やかに、楽しさいっぱいでのセビジャーナス披露となった。こぼれる笑顔、飛び交うパルマとハレオ。踊り終わると、大きな拍手と歓声が沸いた。
フラメンコとフラッシュモブはなかなか相性がいいようだ。丸の内の時も、代々木公園でも、ぶっつけ本番で行われたパフォーマンスであるにもかかわらず、それなりにカッコよく見せてしまう。参加者たちが踊り慣れた腕自慢揃いだったこともあっただろうが、街ゆく人びとは、皆目を奪われていた。何より、踊る楽しさに溢れた参加者たちの笑顔が、周囲に伝染していって、あたりはにわかに祭りのような熱気を帯びるのだ。単にパフォ―マンスとしてうまい下手という以上の伝心力がフラメンコにはあるようだ。
それにしても、フラッシュモブで証明されたもうひとつ大事なことがある。
それは、全国のフラメンカたちのフラメンコフラッシュモブへの関心の高さ、踊る機会に対する強い積極性だ。
ほんのわずかな打合せのみの本番で堂々と踊り切ってしまうツワモノフラメンカたちのパワーは半端ない。
丸の内のフラッシュモブには、私も裏方としてかかわっていたが、告知から1週間もたたない間に、百数十名の参加申し込みがあり、参加者は抽選を経て、確定した。今回も最初の告知から反響が大きく、すぐに申し込みが殺到し定員を上回ったため、主催者は情報告知を控えたほどだったという。
2回のフラッシュモブに主催者として関わったバイレ・フラメンコのポコさんに、今回のモブの手応えを聞いた。
「初回の反省点を踏まえ、また今回参加して下さったアルティスタの方たちの意見も参考にしながら、構成・演出を考えました。参加者を二つのグループに分けて踊っていただいたのも新しい試みです。前半組が踊っている間は、後半組が会場をさりげなく囲い、一般の方が立ち入らな いようにガードしていただきました。一人が踊る時間は半分になってしまいますが、こうすることで踊り場を小さくまとめることができますし、会場全体の安全 も確保できたのではないかと思います」
ポコさんのところには、フラッシュモブを地方でもやってほしいなどの声が、おわってからもいくつも届いているそうだ。
「全国に住むフラメンコ ファンの皆様が、もっと身近な場所でフラッシュ モブを楽しめるような環境にしたいと考えています。まずは自分の足場を固めながらも、今後は地方開催に向けて準備を始めたいと思います。皆でフラメンコを 楽しみながら、世間を驚かせましょう。ご協力をお願いします」
今回初の生音演奏では、音響機材が全くはいらなかったので屋外でのモブとしては音量が小さく踊りづらかったというような課題も残された。まだ始まったばかりのフラメンコ・フラッシュモブ。当然改善点や課題はあるだろうが、このフラメンコ・フラッシュモブパワーが、全国に波及して、もっともっとフラメンコの楽しさを街ゆく人に伝えてくれたらと思う。
フラッシュモブに向けられたフラメンカたちの想いは、パワーは、まだフラメンコを知らない人々へのフラメンコの魅力発信に必ずなるはずだ。
全国のフラメンコ・フラッシュモブ・ファンの皆さん! フラッシュモブの企画開催に情熱を注いでるポコさん! がんばってください! シティオも応援してます。