九州の小倉を拠点に活動する
注目のカンタオーラLA MOECOが、
全編オリジナルの日本語歌詞で録音した初アルバム
「MAS ALLA !」をひっさげて、
CD発売記念コンサートツアーを展開中!
いよいよあさっての12日日曜に
新宿「ガルロチ」にて、
東京公演が行われる。
怖いものしらず?ともいうべき
新人カンタオーラの
この天真爛漫にして果敢な挑戦に、
日本語カンテにずっと期待を寄せてきた私としては、
まずは大きな拍手を送りたい。
期待を胸に、会場に足を運びたい。
発売中のCDはもう何度も聞いた。
ちょっとかすれたヒターナ声が魅力のMOECO。
節回しは荒けづりな部分を残しているが、
小細工のないストレートな歌いっぷりは
潔くて気持ちいい。
カンテ独特の旋律や節回しに、
日本語の歌詞をのせて歌うと、
本来平坦な日本語(特に標準語の日本語)は
どこか不自然に聞こえてしまいがちなのだが、
MOECOはひるまない。
メロディは、
あえてシンプルで昔ながらの
オーソドックスな楽曲が選ばれている。
そこに自身が書いた歌詞をのせて歌う。
そして、彼女がスペイン語のカンテを歌うときと同じように、
日本語の歌詞を歌う。
日本語だからといって、
思い込みの過剰さが空回りすることもない。
いや、むしろクールに、
MOECOは歌う。
MOECOの一番の魅力は、
日本語でカンテを歌うことに、
てらいも、力みもないことだと思う。
今まで、何人かの日本のカンタオール、カンタオーラたちが、
とても慎重に、この大胆な挑戦を重ねてきているが、
そこには、どこか、
エクスキューズがあったように思う。
日本語で歌うことは、
どこか後ろめたいことで、
その可能性を信じてきれていない匂いがしたのだ。
開き直り方が足りないといえばいいのか?
これも乱暴な言い方だが。
実際、スペイン語とカンテは、
分かち難く一体化しているので、
日本語をフラメンコの旋律とリズムにのせて、
それが自然に聞けるようになるには、
超えねばならない山がたくさんある。
日本人でありながら
異国の文化フラメンコを
自身の表現として選んだ者が
誠実に取り組もうとすればするほど深くなる
自身とフラメンコの溝。
MOECOは、そうした精神構造やフラメンコの常識から
解き放たれているように見える。
いとも軽やかに、日本語でカンテを歌っているのだ。
それは世代なのか?
MOECOの個性なのか?
MOECOのカンテは、
まだまだ発展途中だ。
だって彼女のカンテ人生はスタートしたばかりなのだから。
でも、彼女のカンテが、
どう進化し、深化していくのか?
それを私なりに見つめていきたいと感じさせる
なにかが、可能性が、
彼女の何よりの強みかもしれない。
ライブを間近に控えて、
いつもとは違う高揚感を感じている。
MOECOって何者?