バイレ・ソロ総評

菊地裕子
●今年のバイレ・ソロ部門は59名が出場。私が今回、素晴らしいと感じた【特A】の人は8名だったが、奨励賞には1割の6名だけを推薦するようにとのことで、選考会ではその中から6名を推薦した。しかしながら、その差は大きくはなく、今回、私が文句なく奨励賞と思ったのは、 廣木恵理さんと土方憲人さんの2名で、あとはボーダーライン上にいた。 廣木さんに関しては、その突出したフラメンコ性に感動し、土方さんに関しては、既にフラメンコ舞踊手として突出していることに感銘を受けたが、他の方々は「突出」ということがなく、総合的な判断が働いての選出だった。となれば、これで新人公演を卒業する人も、これからチャレンジする人も、多くの舞踊手の中に埋没する可能性が多々ある。そのことを忘れずにいて欲しい。
 フラメンコのバイレ・ソロが目指すのは、唯一、あなただけの印のある踊りだ。それはカンテもギターも同じだけれど、群舞から出発することの多いバイレの人々は、ともすれば、振付通りにきれいに踊ることを目標にする傾向がある。それを評価する人が仮にいたとしても、フラメンコ的にはそこにはたいした価値はない。美しく踊ることや大きく踊ることにも、究極的には価値はない。むろん、舞台芸術としてのフラメンコには、それらは意味のあることだが、基本がフラメンコ的価値に基づいていなければ、それらがフラメンコの感興を生むことは絶対にないと私は思っている。今、スペインからも音楽的、舞踊的に「進んだ」フラメンコが入ってきているけれども、外国人である我々が、フラメンコの感興を芯から感じるまで勉強することなくして、ただ形ばかりの「フラメンコ」を踊ったとしても、誰をフラメンコとして感動させられるだろうか。
 あ、また言い過ぎた!ごめんごめん。年寄りの冷や水でしたね。えへへ。何がフラメンコとして価値があるのかについては、他にも各コメント欄に書いたので、こちらも合わせてお読みください。
 いつものことながら、何年もチャレンジしている出場者が成長している姿を見るのは、何より嬉しい。そして今年は、バタ・デ・コーラやマントン、パリージョなどを使った演目が増えたことも喜ばしかった。受賞云々に関係なく、こうした技術が受け継がれていくことも大事なことだと思う。また、群舞もそうだが、地方からエントリーした出場者たちに声を大にしてエールを送りたい。そして出場した全ての人に、お疲れ様!y ありがとう!
※評価=【特A】>【A】>【A'】
※菊地が奨励賞に推薦した人=【推薦】

手下倭里亜
●今回公の応援団員として原稿書かせていただいてとてもうれしく思っています。それは、スペインから帰ってきたばかりの初回の新人公演の際に「出てみない?」と事務局長の田代さんから話があり、気楽に、でも真剣にチャレンジしたことがあったからです。残念ながら賞には漏れ、先生からは「もう1度チャレンジすればいいのに!」とお声をかけて頂いたんですが、「一度でいいかな」という気持ちが強くて、それ以降はチャレンジはしていません。今からでも遅くないのかな?(笑)。そんな挫折の時がありました。
 さて、ソロばかりの2日目、4時間余りで演じる方も観る方も大変でしたが、今回応援させてもらって私もとてもとても勉強になりました。徒然なるままに書き綴りました。限られた時間の中で勝負をしていくことは計り知れないエネルギーですね。この経験は何物にも代え難く、きっと一皮むけた踊り手に成長しています。
 結果は出ましたが、この結果がすべてではありません。私も進化し続けています。続けることも才能のひとつです。あきらめないで自分を探して見つけていきましょう。

高橋英子
●今年も皆さんのそれぞれに心の籠る踊りを堪能しました。技術的にある一定のレベルに達していて滞りなく一曲を踊れる方が増えてきていますし、その中でそれぞれの個性が見えるのは嬉しいことです。今回思ったのですが、年々参加者の演技は凝った振付や音楽、舞台照明などで派手なものになってきていて、それはある意味でいい傾向だと思います。インパクトある踊り創りは観る人の感動をより大きくします。ただ、ちょっとたぶらかされてしまう、個人の踊りではあまりに過剰な細工はちょっと考えものかもしれない、演技者の演技自体がよく見えてこないという問題点を私は感じています。また、踊る側にそれだけの表現力も要求し、バランスがとれないおかしな結果に終わってしまうこともあるので、注意も必要ではないかと思いました。それから、伝統的な、クラシックなフラメンコが失われつつあり、現代の乗りのフラメンコ芸術、新しい傾向がグローバル化の中で発生してきている、そんな感じもしました。新人公演にもじわじわとそんな現代化の波が押し寄せてきている......などと思ったりもしています。
 今年はある意味で激戦が展開されました。昨年も思いましたが、特にシリアスな曲は、奨励賞にかける意気込みは並みのものではないといった物凄いテンションで踊り込んでいらっしゃる方が多く、圧倒されます。シリアスな曲とは例えばシギリージャとかソレアとかタラントとかですが、私達が気持ちをダイレクトに入れやすい曲風、曲の魅力があります。逆に明るいアレグリアス系はそう意味で表現がとても難しいというのが私の抱いているイメージです。時々程ほどのテンションで深みのある踊りを見たい、などと思ってしまいますが、それは私の個人的な趣味かもしれないです。新人公演では、各参加者がそれなりの思いを籠めて挑戦するというところに意義があり、若さとそのパワー、フラメンコへの情熱が満ち溢れるのは頼もしいことです。とにかく皆さんのこれからが楽しみです。
 さて、今年も出場者の印象やその演技の感想、助言などを簡単に書かせていただきました。続けて沢山の踊りを一気に見とどけるのは至難の業、出場なさった方はほんの参考にしてくださいね。またいつか皆さんの踊りを拝見できれば嬉しいです。

バイレ・ソロ部門 8月22日(土)第2日

写真:©大森有起

9.持田賀津子(アレグリアス)

9.持田賀津子(アレグリアス)

●うーん、足りないところがかなりある。ブラソが少し頼りない。身体に芯ができていない。背筋が弱い。マルカールがちゃんとできていない。まずは体幹をしっかり鍛えて、踊る身体のベースを作るべし。このままだと荒さばかりが目立つ踊りで終わってしまいます。(菊地裕子)
●アレグリアスの雰囲気が出ていました。リズムの甘さがあるので残念でした。間の取り方を研究してみるとよいと思います。(手下倭里亜)
●生来の可愛らしい容姿と華やかさでアレグリアスをとても楽しそうに踊っていて良かったです。視線を定めてしっかり踊っていたのも良かったです。これから技術レベルが高まっていくと全体的に良くなります。スカートの持ち方、何でもない時の手先への気の配り...色々改善できます。頑張ってください!(高橋英子)

10.牛田裕衣(ソレア・ポル・ブレリア)

10.牛田裕衣(ソレア・ポル・ブレリア)

●上手さが光るソレア・ポル・ブレリア。ただ、正面を切るパソが多すぎて、ただでさえ平板になりがちなソレポルのニュアンスの面白みが伝わりにくい。リズムの面白みも。個性的な部分はgood!足がやや走りがちなところに気をつけて。【A'】(菊地)
●赤黒の衣装で、曲の強さが出ていてよかったと思います。空間の使い方ですが、小さくまとまっていたのでそこを考えていくとよいと思いました。(手下)
●ハッキリ目立つ顔の表情とか、あまり動かない踊りに威力がありました。全体的に存在感、ペソのある踊りをイメージしているように感じました。どちらかといったら現代風なパソのこなし方やレマーテなどは効果的に決まっていて良かったです。歌と一緒に中央に消えていくラストの演出など面白かったと思います。(高橋)

11.山中純子(シギリージャ)

11.山中純子(シギリージャ)

●パリージョとバタ・デ・コーラのシギリージャ。ハードルの高い演目に挑戦した気概はあっぱれ。パリージョは良かったが、バタの扱いに荒さが目立った。もう少し優雅さが欲しいところ。また、全体に動きに硬さがある。身体に柔らかさが加わり、芯もさらにしっかりしてくれば、バタ使いも変わるはず。精進召され!(菊地)
●バタ・デ・コーラとパリージョという難しいことにチャレンジ。かなりの練習量を感じさせました。ただ、技が多くてそのためペソが無くなったのが残念でした。(手下)
●サパテアードでの始まりが注意を引き、白のバタだ~と思ったら、パリ―ジョが鳴り響いてきて、なんだか出だしからワクワクさせられる構成で振付演出は良く考えてあってよかったです。踊りはちょっと硬いかな、バタはもう少し研究できるかな、とも思いましたが、技術的にしっかりしていたしとても素敵でした。(高橋)

12.土井わかな(ティエント)

12.土井わかな(ティエント)

●空気感のあるティエント。毎年の挑戦だが、存在感を示して、しっかり成長のあと。唄を聴いて踊ろうとしているの超good!願わくば身体にもっと強さ(フエルサ)が欲しい。また、終盤になってからの弾みも含め、全体として動きは中の深いところから出てくるものであって欲しい。ここからだね。頑張れ!【A'】(菊地)
●衣装が大きい舞台だとちょっと分量が少なく、貧相に見えてしまった事が残念でした。
遠くから見てみることも大事です。初めがカンテリブレから始まり、帰りもリブレで終わったのが印象的でよかったです。 (手下)
●音楽の構成や雰囲気作りなどでフラメンコへの熱い思いが伝わってきますし、小さく華奢な身体を十二分に動かしながら一生懸命で、その意気込みは良かったのですが、その気持ちだけが先行してしまい、技術や表現への気の配りが欠けてしまった感があります。もう一度自分の踊りをよく見直して頑張ってくださいね。(高橋)

13.小林成江(タラント)

13.小林成江(タラント)

●モデルノな振付のタラント。コンパス感がよく、フラメンコしている感じが伝わる。非常に筋の良い踊り手で、大輪の花のような魅力がある。それもひとつの個性だけれど、私はその個性にのみ頼らずに、もっと観る者を突き動かすような大きなエネルギーを内側に蓄えて欲しいと思う。それだけの実力があれば、エネルギーの抑制もできるはず。大丈夫。【A】(菊地)
●赤のハイウエストのファルダに黒のブラウス。大きく存在感があるタラントらしいペソがあり、足音もしっかりとしたフラメンコな踊りでした。首から後ろの肩にかけてが固い印象があり、遠くから見ると首がなくなって見える事だけ残念でした。(手下)
●効果を狙った振付構成をうまく熟す独自の表現力、演技力があったと思います。容姿もステキで大きく美しい上体の動きもとても良かったです。踊りのスタイルなのでしょうか、ブラッソとかマノも私には独特で不思議な世界を持っているように見えまして、もう一度拝見できるなら嬉しいところです。(高橋)

14.森里子(アレグリアス)

14.森里子(アレグリアス)

●芸達者なアレグリアス。見どころ満載で、小気味良さ、楽しさがあちこちに。アレグリアスとして、実にあらまほしき姿なのだが、これだけ沢山の人が出場するステージで印象を残すには、鮮烈なアピールというものが必要だ。舞踊手として基本はできている。あとは振付・構成にもっと工夫を!【A】(菊地)
●上は白でファルダが青という、カディスの青い海空と白い壁を思い起こさせる素敵な衣装でした。微妙に外れるコンパスが惜しいです。ブラソは綺麗でした。細いので細さを感じさせない工夫が必要かもしれません。(手下)
●表情豊かで、アレグリアスの明るい雰囲気やフラメンカな感じを出そうとしているのですけれど、まだちょっと上体がぞんざいで軽いので、それが人に伝わって行かない、そんな風に感じました。ブラッソなどをもっと研究してみてください。サパテアードはしっかり聞こえて来ました。(高橋)

15.渡辺なおみ(タラント)

15.渡辺なおみ(タラント)

●雰囲気を持ったタラント。表現力のある踊り手だと思うが、時折、オーバーアクションに映る。チクッと痛みを感じた時に大声で「いたーい!」と言うのは子供なら許されるが、大人だと引かれてしまう。中を大事に踊らないと、客を置いてけぼりにするのです。ゆえに色々やっても、足も動きも1本調子に映ってしまう。ね、損ですぞ。【A'】(菊地)
●銀色にブルーのフレコの衣装が綺麗です。恵まれた体格の良さでフラメンコな良い世界観をつくっていました。ただ、下手の方にほとんど行っていないので(ほかの方たちも多いのですが)気になりました。(手下)
●自分なりの身体の使い方をつかんでいて美しいシルエットがステキでした。力強くて繊細で、タラントの雰囲気がよくでていてなかなか良かったです。全身全霊で踊っている中に個性が光っていました。タンゴの始まりはオレ!でした。なかなか見応えありました。その調子でこれからも頑張ってください。(高橋)

16.廣木恵理(カンティーニャ)

16.廣木恵理(カンティーニャ)

●マニアックなカンティーニャ。Ole!これぞフラメンコ!コンパスに乗って、マルカールとジャマーダとちょこっとしたエスコビージャ以外に何かあったっけ?ってなもんだ。私には途中からアンヘリータ・バルガスが踊っているように見えましたよ、ええ。こんな人がいるんだねえ。私にとっては、今回最高に興奮し、感動して涙ぐんだ1曲。これだからフラメンコって素敵!!(こういう、マニアックだけど純然たるフラメンコって、もっと評価されないもんかね?。ぶつぶつ)【特A】【推薦】(菊地)
●オレンジの衣装。サンルーカルの海からの太陽を彷彿と感じました。上体が優雅です。
バタ・デ・コーラの振り付けをそのまま踊ったのでしょうか?タコンが弱く足音のバランスが気になりました。(手下)
●確実にパソを決めていく安定した演技で、グラシオッソなパソの表現へ積極的に挑んでいて、全体的にその心意気にとても好感が持てて良かったです。もうちょっとだけでいいですから技術レベルのアップも今後の課題かもしれません。頑張ってください。(高橋)

17.山形志穂(カンティーニャ)

17.山形志穂(カンティーニャ)

●伸びやかなカンティーニャ。舞踊としての魅力はあるが、振付を上手に踊るところに留まっていて、フラメンコらしさが感じられない。ダンス的で、しかもブエルタに硬さがある。全体に同じ出力で踊っていて、平板な印象になった。今後は踊りの練習だけでなく、フラメンコを沢山観て、沢山聴いてください。(菊地)
●ブルーの衣装。こちらはサンルーカルの青い海のイメージかな?ブラソが細長く身体の表情を研究しなければいけないです。衣装と音楽、構成のバランス、大事です。(手下)
●愛らしいパソが可愛く自然で、美しいしなやかな上体でポーズをとると綺麗に決まり、ブラッソに気を配っているのがよくわかります。深いアイレが出るように、また腰が据わったマルカールに持って行くなど課題はあるかもしれません。全体的な技術アップと同時に大きな踊りになって行くように思います。(高橋)

18.西山依里(ロメーラ)

18.西山依里(ロメーラ)

●よく動くロメーラ。しかし手数が多い割にはあんまり伝わってこないのが残念。内側に緩みがあるのか、動きが荒く、空気も動かない。よって、コンパスの妙味も伝わらない。やりたいことがあるなら、何もかもを並べるのでなく、一つひとつを確実に内側から動かしていかないと。精進召され。(菊地)
●衣装はグリーンでファルダは白にグリーンの小さな水玉?かな?(後ろに座ったのでいささかわかりません)黄色のさし色が効いていました。楽しんで踊っている感じが良かったです。指先の研究をした方が良いと思いました。(手下)
●ちょっとふくよかな身体を上下左右に斜め横に自由自在に動かしてのなかなか個性的な面白い踊りでした。時々ジャマーダでとるポーズが不自然な感じがしましたが、サーカス的なパソも難なくこなすなど、楽しさ満点でした。最後の方はちょっと疲れました。ソレアなんかをどう踊るのか見たいです。(高橋)

19.平尾華子(アレグリアス)

19.平尾華子(アレグリアス)

●ジャズダンス風のアレグリアス。舞踊性でいえば、今回、最も上手なレベルだった。身体ができているし、緩急もあって、見せ方も上手い。けれどもフラメンコ性という面ではまだ足りない。コンパス感と諸々の味わいが。ショーとしては成立するかもしれないけれど、フラメンコ的感興のないものをフラメンコとは私は思わない。ぜひフラメンコそのものを深掘りしてください。【A】(菊地)
●グレーでしたがパンツスタイル。踊りも足もテクニカもビエン。しかし、パンツで踊る意味がわかりませんでした。(手下)
●かなり高度なテクニックレベルで、大きな舞台をフルに使って自由自在の演技。面白いパソもあって、一つ一つを感じながら余裕ある踊り。厭味のない楽しいアレグリアスで笑顔も清々しい・・・なかなかいい演技で堪能しました。なんかサラ・バラス的なスター性があります。パンタロンもカッコよかったです。(高橋)

20.岩丸綾子(ソレア・ポル・ブレリア)

20.岩丸綾子(ソレア・ポル・ブレリア)

●おとなしい印象のソレア・ポル・ブレリア。振付を理解して踊っているのはわかるが、起伏がほとんどない。ここぞ!というところを膨らませて欲しいのだけど、どうも全体にエネルギーの総量が少ない。省エネの踊りを観るようだ。沢山のエネルギーを内包し、コントロールするには、身体もしっかり作る必要がある。頑張れ!(菊地)
●銀色の衣装。踊りは皆さん上手です。ただ、踊らされている感が否めません。自分の中でもう一つ考え感じることが大事だと思いました。いつでもどこでも同じ踊りでは、いけないと思います。(手下)
●ゴールドベースのかなり派手な衣装で、身体が膨張して見えました。もともとの体格もドシンとしていて、強く逞しい踊り。今後もっと存在感ある踊りを踊れそうな感じがしました。足さばきが時々綺麗でいいです。ブラッソも違和感ないですが、パソの仕上げのブラッソなどは改善するともっと良くなると思いました。(高橋)

21.小河由里子(タラント)

21.小河由里子(タラント)

●ペソのあるタラント。シンプルな振付を、とても素直に踊った。間違ったことは何もしていないが、シンプルであればあるほど、もう少しマルカールで楽しませてくれないと、良さが伝わってこない。素直さは買いなので、ぜひそのまま勉強を続けて、少しずつできることを増やしてください。(菊地)
●衣装が青とグレーで、とても綺麗。踊りは頑張っている感じが出ていました。全体的に印象が薄いので何か自分らしいものを打ち出すとよいかもしれません。ただ何もしないのと、何かを感じさせてあえて何もしないのは違うと思います。(手下)
●大柄ででんとした顔立ち、立っているだけで存在感あります。意識過剰にならないのはいいのですが、ちょっと味気ない物足りなさが感じられました。全体的に流れに強い押しのある表現が見られると踊りが映えて良くなるように思います。頑張ってください。(高橋)

22.瀬﨑慶太(シギリージャ・イ・マルティネーテ)

22.瀬﨑慶太(シギリージャ・イ・マルティネーテ)

●男っぽい振付のシギリージャ・イ・マルティネーテ。以前よりは良くなったが、強さが必要な上半身に緩みが見えるのが気になる。ブエルタがいまいちになるのも、背筋の鍛え方が足りないから。身体作りが足りない分、全体のパソの流れが滞り、繋ぎ合わせたような印象になった。足もまだ軽い。精進精進!(菊地)
●男子が出た!!というインパクトを貰えるので、女性が多い中、とても有利です。羨ましい。その分、男子は回転、足をもっと練習して頑張らないといけません。リズムがだんだん遅くなる、バックがそのリズムを戻しキープする。という図。そのためのバックではないことをお忘れなく。(手下)
●サムライのようなキリッとしたイメージで、きちんとしっかり踊り熟していて良かったです。ただちょっとおとなしいイメージ。舞踊の流れにメリハリをつけて飽きさせない振付になっていましたが、迫力が足りなかった感じで、もう少しポーズや動きを大胆にしてもいいように思いました。(高橋)

23.石塚真理(ソレア)

23.石塚真理(ソレア)

●ソレアだが、メモに「踊りが小さい」とある。動きが小さいということよりも、内包し、発しているエネルギーが小さいということ。色々小さいので、唄振りは、感じて踊っているのかどうかも伝わらない。また、舞踊手としては背中の鍛え方が足りません。まず身体を作って、エネルギーを発する舞踊手を目指して!(菊地)
●ソレアらしい黒の衣装。小さいのに身体を大きく使っていて舞台の広さを感じさせませんでした。プエルタはもっと早く回るとメリハリが出るのではと思いました。(手下)
●しっかりしたサパテアードで落ち着いた踊りでした。振付自体がシンプルでしたが、唄振りはもう少し歌に合わせた効果的なパソが欲しかったです。上体が硬くなっていて踊りが小さくなってしまっているのが勿体無かった、これからの課題はアイロッソなブラッソで大きくマルカールすることかもしれません。(高橋)

24.藤本ゆかり(シギリージャ)

24.藤本ゆかり(シギリージャ)

●深みのあるシギリージャ。今年、大変に進歩を感じたひとり。いかにもシギリージャらしい厳しさの中にも、自分の印をちゃんと持って踊っていたことに、非常に感銘を受けた。こういう変化を目の当たりにするから新人公演は目が離せない。派手さはないが、誠実なフラメンコ。どうぞ大事に踊り続けて!【特A】【推薦】(菊地)
●黒の衣装が素敵でした。踊りも足も平均的にすべて上手。丁寧に踊っていました。しかし、大勢の中で印象が薄いのは、構成を考える必要があると思いました。(手下)
●上体、ブラッソ、マノも全て違和感なく融合していて良かったです。パソに無駄な動きが無く、時々ハッとさせられる強く逞しい瞬間があって気迫がこもる演技でした。ただ、ちょっとサパテアードは時々力足らずだったのか?他とバランスが取れてなかった感もあってそこが惜しかったです。(高橋)

25.川松冬花(シギリージャ)

25.川松冬花(シギリージャ)

●抑制の効いたシギリージャ。とても上手く、コンパス感もあるが、なぜか唄への共鳴が感じられず、ふっと退屈になる。一定の緊張感があり、作品としての完成度は高い。しかし全体に平板な印象に終わったのは、観ている者を巻き込んで感性の交感をするという認識が足りなかったからではないかと思う。高度な要求ですが、ご一考を。【A】(菊地)
●べロアで下は青がさし色で効いている好印象な衣装。踊りは上手。丁寧に踊りこんでいる。ただ、自分がまだ出てこず、小さくまとまっている感がある。自ら踊っているのではなく踊らされてい感じ。極端に言えばもっと破綻していいと思います。(手下)
●色に青の縦線が入ったインパクトある衣装、踊りもそのイメージを壊さず芯がある。ちょっと肉付きの良い小さな?体型。その鍛えられた筋肉は柔軟に作用し、洗練された技術の土台となっている感じです。上体にハッとさせられるアルテが時々発せられ、迫真的で惹きこまれる素晴らしい演技でした。(高橋)

26.久貝輝代(シギリージャ)

26.久貝輝代(シギリージャ)

●自然な感じのシギリージャ。唄と呼応している感じはgood!けれども深みを増すためにも、身体に強さがもう少し欲しい。このままでは動きが単なる振付で終わってしまって、途中から退屈になってしまう。目指す方向性は間違っていない。頑張れ!【A'】(菊地)
●全体を白黒でまとめた衣装。シギリージャが続きました。こういう時は(事前に順番や踊る曲はわかっていると思うので)、確かに何らかの工夫が必要です。でも、考えすぎると、ストレートに伝わらないものになってしまうので、その点は気をつけた方がいいです。
(手下)
●ハッキリした顔立ちに意気込みが感じられ、デンと構えての熱演でとても良かったです。上体のラインも美しく、テクニックもあります。時々凛とした逞しさを感じ頼もしいのですが、ちょっとばかし集中して踊れていないような感じがしてしまいましたが......私の気のせいか?惜しかった、そんな風に思いました。(高橋)

27.東田美智江(ソレア)

27.東田美智江(ソレア)

●ソレアなのだけど、ソレアの味わいがなかなか出ないままに終わってしまった。形はフラメンコ舞踊に見えても、振付のポイントを繋いだような感じで、肝腎のマルカールができていないので、フラメンコを感じないのだ。フラメンコ舞踊は後にも先にもマルカールでござるよ。お願いします。(菊地)
●久しぶりに赤の衣装。暗い曲が続く中で衣装も大事な要素。衣装の選択は良かったです。
動きは大きくて、とてもよかった。ただ、もっとペソがないとソレアにはならないと思います。(手下)
●全身で思いを込めて踊っている姿はとても好感が持てました。でも、ブラッソがぞんざいなので、もっと基本練習して上体の動きを勉強したり、いい踊りを見てファルダのつかみ方や溜めこみなど研究したり...まだまだ課題はいっぱいありそうです。頑張ってください。(高橋)

28.佐藤幸子(ソレア)

28.佐藤幸子(ソレア)

●独特のソレア。振付としてはシンプルでわかりやすい。それだけに、立っている時、動く時、止まる時それぞれに、自分が内包しているもの、身体に流れているもの、身体から発しているものが問題になると思う。それが非常に伝わりにくい。ゆえにパソが切れ切れに見えてしまう。逆にエスコビージャは生き生きとして良かった。動きにも、もっと得意なところを深掘りして欲しい。(菊地)
●黒の衣装。小さくまとまって踊っている人たちの中で、パッションが伝わるこれぞ、フラメンコ!という踊り。面白く、個性的でしたので、印象深いです。細かいところを丁寧に仕上げるとよかったと思います。(手下)
●髪型をアンティックにまとめ黒の衣装でスッキリ。バックアーティストの作りだすアンティックなアイレが舞台を満たす中で、フラメンコを感じ、心を籠めて踊りたいという願いをひしひし感じ好感が持てます。自分が予想だにしないアイレも引き出せるような、そんな何かテクニックの変化があれば...等と思いました。(高橋)

29.矢村万意子(シギリージャ)

29.矢村万意子(シギリージャ)

●下手から走り込んで来てからのシギリージャ。しっかりツボを押さえた踊りで、いやいや、上手いね、やっぱり。感心して観ていたけれど、沢山、色んなことがあった割には、「おおっ!」ということもなく終わってしまった。昨年、ラスト近くで転んだから、用心が働いたのかしら。もったいない。あとひとつ、決め手が欲しかった!【A】(菊地)
●舞台の下手から走って出てきて上手、2/3のところでピタッと止まる。相当練習したと思われます。踊りも丁寧できちんとしているので好印象。フラメンコらしいオレ!という個所もいくつかあり、自分が出てました。やさしい感じの印象が踊りで見受けられるので、もっと強さが欲しいです。(手下)
●出だしから走って出てくる威勢のよさ。これは昨年も同じでしたね?しっかりしたサパテアードでの攻めは迫力あるもので、冷静さを失わない演技進行の中に自信に満ちた自分の世界を持っていらっしゃる、そんな感じがします。全体的にもっとねちっこい世界を研究するのもいいのではないか?などとも思いました。(高橋)

30.菊池麻由美(シギリージャ)

30.菊池麻由美(シギリージャ)

●表情豊かなシギリージャ。正直言って、シギリージャもこうまで続くと、観るほうには一種のいじめに近いものがある。疲れが出る頃だったが、このシギリージャは長いブラソが雄弁に独自の魅力を見せてくれ、最後まで楽しめた。あともうひとつ強さが出ると、もっと表現の幅が広がるはず。【A'】(菊地)
●黒に藍色、はたまた紫? 照明により衣装の色がわかりませんが綺麗な色です。ブラソがとても綺麗です。じぶんの世界を持っていると思いました。(手下)
●モダンなアイレで、しっかりしたサパテアード。後半ちょっと軽さを感じましたが、大きくスマートな体型で、長い腕やクエルポが空中で舞う感じはとても美しいです。だからこそもっとブラッソの研究をしてより魅せる踊りにしていくといいのではないか?とも思いました。頑張ってください。(高橋)

31.新海玲子(ソレア)

31.新海玲子(ソレア)

●オーソドックスなソレア。振付に新奇さはないが、バックと呼応している雰囲気が心地よく、まずは合格ライン。フラメンコ舞踊はこれをベースにして欲しいと思うことが、ちゃんとできている。あとは自分らしさをどう深めるか。自分の好きなパソをどう研ぎすませていくか。頑張れ!【A'】(菊地)
●グリーンに白のシージョ、真ん中板付き。この方だけではなく、ほとんど板付きの方はセンター後ろ向き。これは指定なのかと思われるほど多く、最後の方の出演の方は不利でしたね。次回は、どうなるかわかりませんが・・・。切れが良い踊り、しかしマルカールなどコンパスに入っている部分ではないところ(4,5,7,9,11)の部分が止まってしまっているので、研究をしてみてください。(手下)
●何といっても全体的に伝統的、正統的な踊り。歌を聴きながらしっかりマルカールしていくシンプルな構成で、自然な表情に誠実さを感じさせるなかなか素直ないい踊りでよかったです。惹きこまれました。筋がいいので、今の姿勢を崩さず地道に深みのある世界を目指してください。(高橋)

32.小林浩子(シギリージャ)

32.小林浩子(シギリージャ)

●バタ・デ・コーラのシギリージャ。せっかくのバタなのだが、扱い方がちょっと雑というか半端な感じで残念。また、足音がパーカッションの音でかき消されて聞こえないのは、私としては減点対象。タンゴに変わってのラスト、それまでと雰囲気が一変する感じがなかったのも惜しかった。精進精進!(菊地)
●バタで赤と黒の水玉の衣装。水玉の衣装が少なかったので、印象的でした。パーカッションの存在も大きく、踊りの存在感が薄くなってしまった。後半タンゴになり、余計にシギリージャの重さが消えてしまうのが残念でした。(手下)
●全体的に曲構成のアイディアやバタを使った曲進行が変わった雰囲気。基本のテクニックはしっかりしていて衣装もステキで良かったです。ただ、踊り自体が見えてこない?難しかったのでもう一度拝見したいと思いました。バタはつかんだり抱えたりすることが多く効果的な放ちが足りないような感じもしました。(高橋)

33.坂本恵美(アレグリアス)33.坂本恵美(アレグリアス)

●バタ・デ・コーラのアレグリアス。白いバタが美しく舞い、全体にメリハリがあって、非常に楽しかった。よく踊れる人で、かなりの舞踊センスを感じるが、もうひとつ、自分自身の強烈な何かがあってもいい。アレグリアスなら、どうしてもコレ!という何かを、ぜひ見つけて。【A】(菊地)
●白のバタ・デ・コーラ、さし色に青とピンクで素敵な衣装。今らしい素敵な振付構成でこれぞアレグリアスという踊り。唄もギターもすべて最高でした。ただ、自分らしさとかパシオンが、それによってかき消されてしまった印象です。自分の踊りは自分の中にあると思います。(手下)
●細身の身体に白のモダンなバタ・デ・コーラ。踊りもモダンな振付で、音楽構成はとてもステキでよかったです。バタはけっこうヒューヒュー派手に振り回していたような?それも現代風、そんな気がしました。全体的なレベルアップの中で、ちょっとずつ品格ある格調高い世界も追求できるのでは?と思いました。(高橋)

アクースティカ倶楽部

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アクースティカ倶楽部は、仲間とともにフラメンコの「楽しさ」を追求する、フラメンコ好きのためのコミュニティです。