1996年、
いよいよマドリッドでの
フラメンコ長期留学がスタート!
フラメンコ雑誌『パセオフラメンコ』に連載していた
『ハポネサ留学生日記』の当時の文章を読みながら
初心(ういういしい心)を振り返ってみるとする。


以下、斜線文は1996年5月号より抜粋
「キエロ・エストゥディアール(勉強したいです)」
と書いたメモを手に、
ブツブツと繰り返しながらマジョール広場を横切る。
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スペイン語学校へ申し込みに行くのだ。
過去形までは日本で勉強してきたから、
このくらいのことは言える。
が、なにせ相手は本物のスペイン人。
今まで習っていた日本語ベラペラのスペイン人とは勝手が違う。

2016年現在、
スペイン在住が20年になる私。
だが、スペイン語でストレスを
感じなくなてきたのはここ数年だ。
もともと語学は不得意で、
けっこう人見知りするタイプ。
いちいちどきどきしていた
あの頃の私が愛おしいわぁ、笑。
私「ブエノス・ディアス (おはようございます)。キエロ・エストゥディアール・・・・・」
先生「ムイ(とても)・ビエン(いい)」
ああ、通じたぁ!
ムイ・ビエンだってさ、私ほめられたわ。
(後から知ったが、このムイ・ビエンは了解という意味でも使うのだった)
授業料を払うとき、
先生と一緒にお金を数える
「ウノ(いち)、ドス(に)、トレス(さん)・・・・」
数え終わると、先生「はい、初心者クラスは卒業ね」
私、どんなもんだい!とばかりに満面の笑顔。
まるで3歳位の子供がほめられたときみたい。
そう、ここでは私はおっきな幼児なのだ。

これよこれ。
留学スタート時はともかく
何年か経ってもたどたどしいスペイン語のせいで
いつまでも子供扱いされるのが
くやしくてたまらい時期も長くあったなあ。
やたらゆっくりはっきり話されると
かちんとくる時期がね。
さて、
友達ができ始めると
日本語ちょっと教えてよ、
とか言われて教えたのが。
『バカ』
スペイン語では牛の意味。
『アホ』
スペイン語ではにんにく。
(アにアクセントつけるが)
『愛(アイ)』
痛いときや失敗したときにいう言葉。
『手(テ)』
お茶のこと。
『乳母(ウバ)』
ぶどう。
『蝶々(チョウチョ)』
こっちではチョチョ。
意味はここには書けません
自分で調べてね、笑。
蝶々のうた歌うと
大爆笑ですわ。
そしてこれが子供の歌だというと
びっくり仰天ね。
私の発音で爆笑されたのは
『マドリッド』
と言ったとき。
「『マドリッド』だってぇ」
カカカカカ、と笑われた。
日本は子音だけの音がないから
『Madrid』の『d』を『ド』と発音するが
実際の発音では『d』の後には『o』はない。
『マドリッドゥ』
またはアンダルシアでは
『マドリッ』
でも、『ドゥ』を『ド』と言ったからって
そんなに笑わなくても・・・・
と思ったが、
セビージャに移り住んだときに
日本語話すオーストラリア人に
「Makiちゃん、カラスいる?」
と真顔で言われたときには
私も吹いた。
彼は『彼氏』と言いたかったのだ。
発音が曖昧なだけで
意味が通じなかったりするってこういうことか、
と実感した出来事だった。
ああ、それと、20年まえに語学学校の先生に
初級合格ね、と言われたときの
数字の『3』『Tres(トレス)』だが、
これも『トレス』と日本語的に発音すると通じない。
『T』の後に『o』を入れない
『s』の後にも『u』をはないのが本当。
この場合は
『Tre』までを一気にはやく発音するのだ。
あえて書くなら『トゥレ』
『s』は『ス』を言うつもりで息だだけが出る感じ。
このどうしても
子音の後に母音を入れてしまう
私たちの発音の癖、
日常会話ではそんなには
問題ないものだが
カンテを歌いたい人は
気をつける必要があるだろうね。
余計な音が入ることによって
『らしさ』がでにくいのと
早い曲ではリズムが合わなくなったりする。
なあんてね。
20年前の私に向かって
20年後の私が知ったかぶりしてみるの巻。
初心者はこんなことどうでもいいの!
できるようになってから喋ろうなんてしてたら
いつまで経ってもしゃべれない。
しゃべって笑われて
しゃべって直されて
その繰り返しが上達の一番の近道。
しか〜し!
かういう私も
実は未だにかなり小心者なんですわ。
飛行機でスチュワーデスさんが近づくまで
「オレンジジュース、プリーズ」
をブツブツと繰り返した末に、
結局は、
何も言わずに指をさして注文する。
それっぽく
「アウレンジ、プリ〜ズ」なんて
恥ずかしくて人前で言えないわよ。
ハハハ、
私がいつも通路側の席を選ぶ理由がばれた?
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